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問題の説明

巡回型の連立方程式の問題は数学オリンピック等ではよく出題されます.愚直に計算するというよりも巡回式であることを利用した式変形の工夫でうまく解くことが要求されています.今回は愚直に計算しても解くことができる問題ですが,あまりに計算が複雑すぎてなんらかの工夫をしなければ解けない問題も多々あります.

消去法・代入法

一般的な連立方程式の解き方で解いてみましょう.文字を消去して式の本数を減らすというのが基本的な方針です.実際に文字$z$を消去してみましょう.消す文字は$z$でなくてもなんでも構いません.以下$x,y,z,(x+y),(y+z),(z+x)$はすべて$0$でないことに注意します.

$$z=\frac{5}{x+y}$$ を第一式,第二式に代入して整理すると, $$x^2y+xy^2-4x+y=0$$ $$x^2y+xy^2+2x-3y=0$$ の$2$式を得ます.これらを辺々引いて, $$y=\frac{3}{2}x$$ を得ます.これより,$z=\frac{2}{x}$がわかります.これらを第一式に代入すると, $$x \left( \frac{3}{2}x+\frac{2}{x} \right)=3$$ となるのでこれを解くと,$x=\pm \frac{\sqrt{6}}{3}$となります.これより$y,z$も求められます.結局 $$(x,y,z)=\left(\pm \frac{\sqrt{6}}{3},\pm \frac{\sqrt{6}}{2},\pm \sqrt{6} \right)$$ が答えとなります.

対称式を用いる

さて,今度は連立方程式が巡回型であることを利用した別の解き方で解いてみましょう.まずやるべきことは対称式を作るということです.つまり,対称式についてなんらかの情報を得ようというのが方針です.与えられた$3$式を辺々加えると, $$xy+yz+zx=6$$ であることがわかります.この式は対称式になっているので,有益な情報を手にしたと思ってよいです.実際,この式から元の$3$式のそれぞれを辺々引くと, $$xy=1, yz=3, zx=2$$ が得られます.この$3$式を辺々掛けると, $$x^2y^2z^2=6$$ となるので,$xyz=\pm\sqrt{6}$がわかります.この式も対称式になっています.この式と$xy=1, yz=3, zx=2$を用いれば,結局 $$(x,y,z)=\left(\pm \frac{\sqrt{6}}{3},\pm \frac{\sqrt{6}}{2},\pm \sqrt{6} \right)$$ が答えとなることがわかります.

最初の解き方とは違って,この解き方は与えられた$3$式を平等に扱っています.つまり,最初の解き方の一つの文字を消去するという考え方は,ある意味ではその文字を特別扱いして対称性を崩しています.それに対して対称式を用いた解き方は最後まで対称性を保ったままどの式も特別扱いせずに解を導いているのでエレガントですっきりしています.計算量もこちらの解き方の方が少ないです.このように対称性を用いる考え方は連立方程式の問題に限らず,多くの問題で計算の手間を省くのに役立ちます.