2種類の距離をもつ4頂点のなす図形|思考力を鍛える数学

平面上に相異なる $4$ 点をとります.この $4$ 点から $2$ 点を選ぶ選び方は ${} _{4} \mathrm{C} _{2}=6$ の $6$ 通りあります.したがって, $2$ 点間の距離としては一般には $6$ 種類ありえますが,それがちょうど $2$ 種類しかないとき,$4$ 点が成す図形はどのようなものがあるでしょうか,という問題です. あなたはいくつ見つけられるでしょうか.

すべてをもれなく見つけ出すためには,順序立てて物事を考える力がそれなりに必要です.

初手

まず,相異なる $4$ 点が同一直線上にあることはありえません.したがって,三角形の頂点となるような $3$ 点が必ず存在します.それらを $A,B,C$ としましょう.(残りの $1$ 点を $D$ とします.)

さて,$△ABC$ について,問題の仮定から,$3$ 辺の長さが全て異なることはありえません.したがって,$△ABC$ は正三角形か二等辺三角形です.それぞれの場合について,$D$ の位置としてありうるものを探せばよいです.以下,解答になります.

$△ABC$ が正三角形のとき

$DA,DB,DC$ の長さがすべて異なることはありえません. したがって,$D$ は 辺 $AB$ の垂直二等分線上か,辺 $BC$ の垂直二等分線上か,辺 $CA$ の垂直二等分線上にあります.下図でいうところの点線上です.
一般性を失うことなく,$D$ は $BC$ の垂直二等分線上にあるとしてよいです.

Case1: $D$ が $A$ より上部にあるとき

この場合は,$D$ が $DA=AB$ となる場所に位置するときで,下図のような二等辺三角形の内部に正三角形がある図形になります.

Case2: $D$ が $△ABC$ の内部にあるとき この場合は,$D$ が正三角形 $ABC$ の中心となる場所に位置するときで,下図のような正三角形と中心の図形になります.

Case3: $D$ が $BC$ より下部にあるとき この場合は少し注意が必要で,$2$ 種類の可能性があります. 一つ目は,$D$ が $AB=AD=AC$ となる場所に位置するときで,下図のような凧型になります.

もう一つは,$D$ が $DB=BC=CD$ となる場所に位置するときで,下図のようなひし形になります.

以上より,$△ABC$ が正三角形のときは $4$ 種類の図形があります.つぎに,$△ABC$ が二等辺三角形のときを考えます.

$△ABC$ が二等辺三角形のとき

厳密には,$△ABC$ が正三角形でなく,二等辺三角形であるときを考えます. 一般性を失うことなく,$AB=AC$ としてよいです. ここで,$AB=AC=a,BC=b$ としておきましょう.($a \neq b$) $4$ 点目 $D$ を平面上にとったとき,問題の仮定から,$DA,DB,DC$ の長さは $a$ または $b$ でなければなりません.

ところで,もし,ある $3$ 点を選んでそれが正三角形を成すとすると,この場合は上で考えた $△ABC$ が正三角形のとき の場合に帰着します.したがって,どの三点も正三角形とならないような組み合わせのみを考えればよいです.

そのような組み合わせは, $$(DA,DB,DC)=(b,a,a),(b,a,b),(b,b,a)$$ の $3$ 通りあります.

$(DA,DB,DC)=(b,a,a)$ のとき

この場合は,下図のような正方形になります.

$(DA,DB,DC)=(b,a,b)$ のとき

この場合は,下図のような等脚台形になります.

$(DA,DB,DC)=(b,b,a)$ のとき

この場合も,下図のような等脚台形になります.

最後の $2$ つは図形としては同じものです.したがって,$△ABC$ が二等辺三角形のときは $2$ 種類の図形があります.

まとめ

結局,問題の条件を満たすのは次の $6$ 種類の図形です.

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