正方形の大きさは問題には関係ないので,適当に決めても一般性を失いません.$2$ 行目のただし書きにより,点 $P$ をひとつ決めると $4$ 本の直線の引き方が決定します.したがって,正方形がどのように $8$ つの領域に分けられるかは, 点 $P$ の位置のみによって決定します.また,領域の塗り分け方は,要は白黒交互に塗り分けるという意味です.さて,隣り合う $2$ 直線のなす角は $45°$ なので,図に表れる角度はすべて $45°$ の倍数です.
もし,この問題が簡単だと感じるようでしたら,『正方形』を『円』に変えた同様の問題を考えてみてください.『円』の場合も同様のことが成り立ちます.
幾何的に解く
幾何学的アプローチで解いてみましょう.次のように補助線を引きます.
つまり,合同な正方形が $2$ つ重なった状態です.このとき,斜め $45°$ に傾いた直線は新しく作った正方形の対角線になっています.さらに次のように補助線をひきます.
このように補助線を引くと,黒く塗られた領域をすべて新しく作った正方形に移すことができます.
よって,黒く塗られた領域は正方形の半分の大きさなので,問題の主張が示せました.
代数的に解く
代数的に解くこともできます.こちらの方は計算はややこしいですが,ほとんど機械的な計算で解けます.正方形の辺に平行になるように,$x$ 軸,$y$ 軸を導入します.正方形の中心を $(0,0)$ とします.$P$ が,正方形の中心や $x$ 軸上や $y$ 軸上にある場合は簡単なので省略します.そうでないとき,$P$ の座標を $(a,b) (a>0,b>0)$ としても一般性を失いません.
正方形の一辺の長さを (計算しやすいように) $2$ とすると,黒く塗られた領域は直角二等辺三角形または台形なので,$a,b$ を用いて簡単に計算できます.計算過程は省略しますが,黒く塗られた領域を全て足すと $2$ となることが確認できます.これは正方形の面積の半分なので,問題の主張が示せます.
おまけ
もし,この問題が簡単だと感じるようでしたら,『正方形』を『円』に変えた同様の問題を考えてみてください.『円』の場合も同様のことが成り立ちますが,こちらのほうが難しいです.正方形のときの結果を上手に用いると,エレガントに証明できます.