連立方程式の解き方|思考力を鍛える数学

連立 $2$ 元 $1$ 次方程式の解き方を解説します.

つぎのような文章題を考えてみましょう.

例題 $A$ くんは $1$ 個 $90$ 円のりんごと,$1$ 個 $150$ 円のなしを合わせて $8$ 個買ったところ,合計の値段が $900$ 円でした.$A$ くんはりんごとなしをそれぞれいくつ買ったでしょうか.

$A$ くんが買ったりんごの個数を $x$ 個,なしの個数を $y$ 個とすると,問題の条件からつぎの $2$ つの式が成り立ちます. \begin{eqnarray} \ \left\{ \begin{array}{l} x+y=8 \\ 90x+150y=900  \end{array} \right. \cdots (*) \end{eqnarray} つまり,この問題を解くには,上の $2$ つの式を両方とも成り立たせるような $x,y$ の値を求めればよいということです.たとえば,$1$ 番目を成り立たせるような $x,y$ の組について,$2$ 番目の式が成り立つかを確かめていけば,$(x,y)=(5,3)$ が見つかります.

($*$) のように,方程式をいくつか組み合わせたものを連立方程式といいます.たとえば, \begin{eqnarray} \ \left\{ \begin{array}{l} x^2+y^2=5 \\ y=x+1  \end{array} \right. \cdots (A) \end{eqnarray} \begin{eqnarray} \ \left\{ \begin{array}{l} x(y+z)=3 \\ y(z+x)=4 \\ z(x+y)=5 \end{array} \right. \cdots (B) \end{eqnarray} などはすべて連立方程式です.上のように,連立方程式は連立させる方程式たちを$\{$ でまとめるのが慣例です.この記号により,どの方程式を連立させているのかが一目でわかります.

連立している方程式のすべてを成り立たせる文字の値の組を連立方程式の解といい,解を求めることを連立方程式を解くといいます.たとえば,連立方程式 ($A$) の解は $(x,y)=(1,2),(-2,-1)$ で (→参照),連立方程式 ($B$) の解は $(x,y)=\left(\pm \frac{\sqrt{6}}{3},\pm \frac{\sqrt{6}}{2},\pm \sqrt{6} \right)$ です.(→参照)

変数が $2$ つで,すべて $1$ 次方程式であるような連立方程式を連立 $2$ 元 $1$ 次方程式といいます.最初の式 ($*$) は連立 $2$ 元 $1$ 次方程式です.これは連立方程式の中で最も基本的なタイプになります.以下では,この連立 $2$ 元 $1$ 次方程式の解き方を解説します.

連立方程式を解くためのアイデアは,変数を消去するということに尽きます.何らかの方法で,変数を消去していき,たったひとつの変数のみの式を作り出せれば解くことができるわけです.

連立 $2$ 元 $1$ 次方程式の解き方は大きくわけて $2$ つあります.代入法と加減法です.どちらの方法で解いても大差ありませんが,状況に応じて使い分けられるようにしておくとよいでしょう.

代入法

例題 次の連立方程式を解け. \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} y = 2x-1 \\ 2x+y=7  \end{array} \right. \end{eqnarray}

説明をわかりやすくするために,下のように,それぞれの式に番号をつけます. \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} y = 2x-1 \cdots ①\\ 2x+y=7 \cdots ② \end{array} \right. \end{eqnarray} ひとつの文字からなる方程式をつくるために,式 ①を式 ②に代入します. $$2x+(2x-1)=7$$ この $1$ 次方程式を解くと,$x=2$ となります.これを式 ① に代入すると, $$y=2\times 2-1=3$$ したがって,$x=2,y=3$ です.

代入法のポイントは,$x=(y\ の式)$ や,$y=(x\ の式)$ のように,ある文字を別の文字のみで表す等式をつくり,それを別の式に代入することで,文字を消去するということです.

加減法

例題 次の連立方程式を解け. \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 3x+2y=8 \\ x+2y=4  \end{array} \right. \end{eqnarray}

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 3x+2y=8  \cdots ①\\ x+2y=4 \cdots ②  \end{array} \right. \end{eqnarray} 式 ①,式 ②ともに,$y$ の係数が等しいことに着目します.そこで,式 ①から式 ②を式ごと引きます (これを ①-② と書くことにします).

すると,$2x=4$ が得られ,これより $x=2,y=1$ となります.

例題 次の連立方程式を解け. \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 5x+2y=9 \\ x-2y=-3  \end{array} \right. \end{eqnarray}

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 5x+2y=9  \cdots ①\\ x-2y=-3  \cdots ② \end{array} \right. \end{eqnarray} 式 ①と式 ② の $y$ の係数は,$2$ と $-2$ で符号のみが異なります.したがって,式 ①と式 ②を足すことで $y$ が消えます.
すると,$6x=6$ が得られ,これより $x=1,y=2$ となります.

加減法のポイントは,ある文字に着目し,その係数をそろえて式同士を足したり引いたりすることでその文字を消去するということです.

 次の連立方程式を解け. \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 4x + y = 7 \\ 3x+2y= 4  \end{array} \right. \end{eqnarray}

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 4x + y = 7 \cdots ①\\ 3x+2y= 4 \cdots ② \end{array} \right. \end{eqnarray} $①\times 2- ②$ より,$5x=10$.したがって, $x=2,y=-1$.
もちろん,$①\times 3-②\times 4$ を行って,$x$ を消去してもよい.ただし,計算が楽な方を選ぶのが賢明.

 次の連立方程式を解け. \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \frac{x+1}{2}+\frac{y-1}{3}=\frac{7}{3} \\ 0.2x-0.1y=0.4  \end{array} \right. \end{eqnarray}

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \frac{x+1}{2}+\frac{y-1}{3}=\frac{7}{3} \cdots ①\\ 0.2x-0.1y=0.4 \cdots ② \end{array} \right. \end{eqnarray} 方程式に分数や小数が含まれる場合は,両辺に適当な数をかけて,簡単にすると計算しやすくなる.
①$\times 6$ より, $$3(x+1)+2(y-1)=14$$ すなわち, $$3x+2y=13 \cdots ③$$ また,②$\times 10$ より, $$2x-y=4 \cdots ④$$ ③ + ④$\times 2$ より, $$7x=21$$ したがって,$x=3,y=2$ .

 次の連立方程式を解け. $$2x+y=7x+3y=1$$

このように,式が複数の等号で連なっているパターンもある. $$A=B=C \Leftrightarrow A=C \ かつ\ B=C$$ であるから,問題の条件は, \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 2x+y=1 \cdots ①\\ 7x+3y=1 \cdots ② \end{array} \right. \end{eqnarray} と同値.$①\times 7-②\times 2$ より,$x=-2,y=5$ となる.

$$A=B=C \Leftrightarrow A=B \ かつ\ B=C$$ と考えれば,問題の条件は, \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 2x+y=7x+3y \\ 7x+3y=1  \end{array} \right. \end{eqnarray} と同値であるし, $$A=B=C \Leftrightarrow A=B \ かつ\ A=C$$ と考えれば,問題の条件は, \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 2x+y=7x+3y \\ 2x+y=1  \end{array} \right. \end{eqnarray} とも同値である.当然,どれを解いても答えは同じになる.計算が楽になるものを選べばよい.

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