円順列・じゅず順列|思考力を鍛える数学

異なるいくつかのものを円形に並べる順列の個数について考察します.

人やものを円形に並べる順列を円順列といいます.円順列では,適当に回転して並び方が一致するものは,同じ順列であると考えます. たとえば,$A,B,C$ の $3$ 人が円形に並ぶとき,下図のふたつの並び方は同じ順列です.左図を時計回りに $60°$ 回転させると右図と一致するからです.したがって,これらは区別せず,ひとつの順列と考えます.

ちなみに,$A,B,C$ の $3$ 人が円形に並ぶときの並び方は下の $2$ 通りだけです.

さて,$A,B,C,D$ の $4$ 人が円形に並ぶときの並び方の総数を考えてみましょう.$2$ つの考え方を紹介します.

考え方 $ -すべて一列にならべてから円形にする-

まず,$A,B,C,D$ の $4$ 人を一列にならべる方法は,$4!=24$ 通りあります.次に,この $24$ 通りそれぞれについて両端をつないで,円順列にします.たとえば,順列 $BCAD$ を円順列にすると,下図のようになります.
さて,一列に並んだ $2$ つの順列が円順列として同じになるのはどのような場合でしょうか. たとえば,$2$ つの順列 $ABCD$ と $CDBA$ は円順列として異なるものです.

ところが,$ABCD$ と $CDAB$ は円順列として一致します.(他方を $180°$ 回転すると一方に一致するからです.)

先に述べたように,円順列として同じ並び方になるものは適当に回転して一致するものです.これは,もとの順列で考えると,下図のように,文字を何回か右にずらして一致するもの,ということになります.(たとえば,$ABCD$ はすべての文字を右に $3$ つずらすと,$CDAB$ という順列になる.(ただし,一番右にきた文字は一番左にずらします))

したがって,円順列にしたときに $ABCD$ と一致するのものは $DABC,CDAB,BCDA$ に限ります.他の並びに関しても $4$ つの順列が $1$ つの円順列に対応しています.したがって,円順列の総数は $$\frac{4!}{4}=6$$ より,$6$ 通りです.

考え方 $ -一つを固定して残りを並べる-

$A,B,C,D$ のうちのひとり,たとえば $A$ を下図の位置に固定します.
つまり,円順列では $A$ は常にこの位置にいると考えてよいのです.(そうでないなら,適当に回転して $A$ をいつもこの位置にもってこれるからです) さて,残りの $B,C,D$ を空いている場所に並べる方法は $3!=6$ 通りあります.これら $6$ 通りの並べ方は明らかに円順列として異なるものです.したがって,円順列の総数は $6$ 通りです.

上の $2$ つの考察を一般化すると,次の公式が得られます.

円順列の総数: 異なる $n$ 個のものの円順列の総数は $\large (n-1)!$

ものを円形に並べる順列であって,回転や裏返しによって,並び方が一致するものを同じとみなす場合は,じゅず順列といいます. たとえば,赤,青,黄の $3$ つのビーズを円形に並べるとき,何種類のブレスレットがつくれるでしょうか. まず,円順列でみたように,$3$ つの異なるものを円形に並べる方法は $2!=2$ 通りあります.

ただし,ブレスレットは裏返すことができます.上図の一方を裏返すと他方に一致します.したがって,つくれるブレスレットは $\frac{2}{2}=1$ 種類です.

上の考察により,$2$ つの円順列が $1$ つのじゅず順列に対応していることがわかります.したがって,次の公式が得られます.

じゅず順列の総数: 異なる $n$ 個のもののじゅず順列の総数は $\large \frac{(n-1)!}{2}$

 男女それぞれ $4$ 人ずつが円形のテーブルに着くとき,男子の両隣りには必ず女子が来る並び方は何通りあるか.

男子の両隣りに必ず女子が来るためには,男女が交互にテーブルに着く場合しかありえない.男子一人をある特定の席に固定して,残りの男子 $3$ 人の座り方は $3!=6$ 通り.そのそれぞれの場合について,女子の座り方は $4!=24$ 通りあるので,結局 $$6\times 24=144$$ $144$ 通り.

 立方体の各面に,隣り合った面の色は異なるように,色を塗る.ただし,立方体を回転させて一致する塗り方は同じとみなす. ($1$) 異なる $6$ 色を全て使って塗る方法は何通りあるか. ($2$) 異なる $5$ 色を全て使って塗る方法は何通りあるか.

($1$) 特定の色を一つ選んで,立方体の上面がその色で塗られているとしてよい. このとき,立方体の下面の塗り方は $5$ 通りあり,そのそれぞれの場合について,側面の塗り方は $4$ 色に対する円順列なので,$3!=6$ 通り.したがって,$5\times 6=30$ 通り. ($2$) ($1$) と同様に,特定の色を一つ選んで,立方体の上面をその色で塗る.この色の選び方は $5$ 通り.

このとき,条件から,側面は残りの $4$ 色をそれぞれ一つずつ使い,下面は初めに選んだ色で塗らなければならない.この塗り方は,$4$ 色に対するじゅず順列なので,$\frac{3!}{2}=3$ 通り.したがって,$5\times 3=15$ 通り.

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