ホーム >> 数列 >> 累乗の和の公式

累乗の和の公式の導出を解説します.




累乗の和の公式

累乗の和の公式:
$$\large \sum_{k=1}^n k=\frac{1}{2}n(n+1)$$ $$\large \sum_{k=1}^n k^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$ $$\large \sum_{k=1}^n k^3=\left(\frac{1}{2}n(n+1)\right)^2$$

これらは高校数学で暗記すべき $3$ つの和の公式ですが,この公式の導き方を考察してみると,$4$ 乗や $5$ 乗の和の公式も導き出せます.

$1$ から $n$ までの和

$1$ から自然数 $n$ までの和 $S_n$ はつぎのように求めることができます.
まず,$1$ から $n$ までを一列に並べます. $$1,2,3,\cdots,n-1,n$$ つぎに,$1$ から $n$ までを逆順に並べます. $$n,n-1,n-2,\cdots,2,1$$ この $2$ 列に並んだ数を縦に足すと,どの列も和が $n+1$ となります.
1からnまでの和
全部で $n$ 列あるので,$2S_n=n(n+1)$ となります. よって, $$S_n=\frac{1}{2}n(n+1)$$ です.

$1^2$ から $n^2$ までの和

さて,今度は $1^2$ から $n^2$ までの累乗の和,すなわち $1^2+2^2+3^2+\cdots+n^2$ を求めてみましょう.先ほどと同じような方法で求めようとすると,縦の列の和が一定にならずうまくいきません.別の考え方で解いてみましょう.唐突ですが,次の恒等式を見てください.
$$k^3-(k-1)^3=3k^2-3k+1$$ 左辺を展開すれば右辺に等しくなることは簡単に確かめられます.この恒等式の $k$ に $1$ から $n$ までの数を代入したものを並べて次のような表をつくります.
\begin{array}{c|cc} k&k^3-(k-1)^3=&3k^2-3k+1 \\ \hline 1&1^3-0^3=&1 \\ 2&2^3-1^3=&7 \\ \vdots & \vdots& \vdots \\ n-1 & (n-1)^3-(n-2)^3=&3(n-1)^2-3(n-1)+1 \\ n & n^3-(n-1)^3=&3n^2-3n+1 \\ \hline \end{array} この $n$ 本の式の辺々の和をとると,左辺はうまい具合に打ち消し合って, $$n^3=\sum_{k=1}^n (3k^2-3k+1)$$ となります.和の記号の線形性より, $$n^3=3\color{red}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k^2}}}-3\color{blue}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k}}}+\color{green}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n 1}}} $$ と分解されます.求めたいものはの下線部分です.の下線部分は先程求めました. $$\color{blue}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k}}}=\frac{1}{2}n(n+1)$$ また,の下線部分は, $$\color{green}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n 1}}}=n$$ となります.以上より, $$n^3=3\color{red}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k^2}}}-\frac{3}{2}n(n+1)+n$$ となるので,計算すると, $$\sum_{k=1}^n k^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$ です.これで $2$ 乗の和を求めることができました.

ところで,この方法がうまくいった理由は,恒等式 $k^3-(k-1)^3=3k^2-3k+1$ の左辺が打ち消しあったことと,右辺の和が $2$ 次以下の多項式で表されたことによります.この方法を応用すると,$3$ 乗以上の和の公式も同様にして求めることができます.

$1^3$ から $n^3$ までの和

$1^2$ から $n^2$ までの和で用いた方法を応用することで,$3$ 乗の和を求めることができます.恒等式 $k^4-(k-1)^4=4k^3-6k^2+4k-1$ を用いればよいです.先ほどと同様に,この恒等式の $k$ に $1$ から $n$ までの数を代入して片々足すと, $$n^4=4\color{orange}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k^3}}}-6\color{red}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k^2}}}+4\color{blue}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k}}}-\color{green}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n 1}}}$$ 先ほどまでの考察から, $$\color{red}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k^2}}}=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1), \color{blue}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k}}}=\frac{1}{2}n(n+1), \color{green}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n 1}}}=n$$ とわかっているので, $$n^4=4\color{orange}{\underline{\color{black}{\sum_{k=1}^n k^3}}}-n(n+1)(2n+1)+2n(n+1)-n$$ となります.これを頑張って計算すると, $$\sum_{k=1}^n k^3=\left(\frac{1}{2}n(n+1)\right)^2$$ です.これはちょうど,$1$ から $n$ までの和の $2$ 乗になっているので覚えやすいですね.これで $3$ 乗の和を求めることができました.

同様にして,$k^5-(k-1)^5, k^6-(k-1)^6$ などを考えれば,計算は複雑になりますが,$4$ 乗の和や,$5$ 乗の和を求めることもできます.