$n+1$点が与えられた$n$次多項式|思考力を鍛える数学

今回は代数分野の中でも特に整式の処理に関する問題です.$n$次多項式 $f(x)$ は $n+1$箇所で取る値がすでに決まっています.すなわち, $$f(0)=0, f(1)=\frac{1}{2}, f(2)=\frac{4}{3},…$$ です. このとき,$f(n+1)$の値を求めるという問題です.シンプルですが,何をすればいいのかわかりにくいかもしれません.

方針・考え方

今回の問題のような問い方の問題を解いたことがある人はあまりいないと思いますが,このような典型的でない問題に出会ったときこそ真の思考力が試されるでしょう.といっても今回はそれほど深く考えなければ解けないような問題ではありません.今回のポイントは自分の知っている知識が使えるような形に問題文を置き換えることでしょう.整式に関して高校数学レベルで覚えておくべき重要なことはおそらく因数定理ぐらいです.この定理が使える形に変形するという方針さえ思い浮かべば,あとは計算のみという問題です.

解法

$n+1$次多項式$g(x)$を, $$g(x)=(x+1)\ f(x)-x^2$$ とおきます(この式変換が最大のポイントです).このとき,$g(k)=0  (k=0,1,…,n)$ ですから,因数定理より $g(x)$ は $x,(x-1),…,(x-n)$ を因数に持ちます.したがって定数 $a$ を用いて, $$g(x)=ax(x-1)(x-2) \cdots (x-n)$$ とかけます.ゆえに恒等式 $$ax(x-1)(x-2) \cdots (x-n)=(x+1)\ f(x)-x^2$$ が成立します.$x=-1$を代入すると, $$a=\frac{(-1)^n}{(n+1)!}$$ がわかります.したがって, $$f(x)=\frac{\frac{(-1)^n}{(n+1)!}x(x-1)(x-2) \cdots (x-n)+x^2}{x+1}$$ となるので, $$f(n+1)=\frac{(-1)^n+(n+1)^2}{n+2}$$ です.

試すべきことが少ない問題の方が手っ取り早く解ける印象がします.

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