円の接線の式:
(1) 円 $x^2+y^2=r^2$ 上の点 $(x_1,y_1)$ における接線の方程式は $$\large x_1x+y_1y=r^2$$ (2) 円 $(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$ 上の点 $(x_1,y_1)$ における接線の方程式は $$\large (x_1-a)(x-a)+(y_1-b)(y-b)=r^2$$
上の公式を用いれば,円の式と,円上の一点の座標から,その点における接線の方程式がわかります. たとえば,円 $x^2+y^2=5$ 上の点 $(1,2)$ における接線の方程式は $$x+2y=1$$ です.
また,円 $x^2+y^2=4$ 上の点 $(2,0)$ における接線の方程式は $$2x=4$$ すなわち, $$x=2$$ です.
このように,接線が $y$ 軸に垂直な場合や,あるいは $x$ 軸に垂直な場合にも公式が成り立ちます.
注意
上の公式を用いるときは,点 $(x_1,y_1)$ は円上の点でなければなりません.円外の点を通る円の接線の方程式を求める場合と勘違いしやすいので気をつけましょう.
上の公式の (1) の場合を証明してみましょう.(2) の公式は (1) の場合を平行移動すれば示すことができます.
$3$ つの場合に分けて示します.
(1) の証明: 点 $P(x_1,y_1)$ とする. $\large\color{green}{Case1}:$ $x_1\neq 0,y_1\neq 0$ のとき
円の半径 $OP$ の傾きは $\frac{y_1}{x_1}$ である. 求める式は点 $P(x_1,y_1)$ を通り,半径 $OP$ に垂直であるから,その式は $$y=-\frac{x_1}{y_1}(x-x_1)+y_1$$ したがって, $$x_1x+y_1y=x_1^2+y_1^2$$ 点 $P$ は円上の点なので, $$x_1^2+y_1^2=r^2$$ 以上より, $$x_1x+y_1y=r^2$$ $\large\color{green}{Case2}:$ $x_1=0$ のとき
接線の方程式は,$y=r$ または $y=-r$ である.これは, $$x_1x+y_1y=r^2$$ において,それぞれ $(x_1,y_1)=(0,r),(0,-r)$ とした場合であるから,接線の方程式は $$x_1x+y_1y=r^2$$ で表されている. $\large\color{green}{Case3}:$ $y_1=0$ のとき
接線の方程式は,$x=r$ または $x=-r$ である.これは, $$x_1x+y_1y=r^2$$ において,それぞれ $(x_1,y_1)=(r,0),(-r,0)$ とした場合であるから,接線の方程式は $$x_1x+y_1y=r^2$$ で表されている.
以上より,点 $P$ における接線の方程式は $$x_1x+y_1y=r^2$$ で表される.
円の接線の公式を利用して,円外の点を通る円の接線の式を求めてみましょう. 円 $O$ と円外の $1$ 点 $P$ があたえられたとすると,点 $P$ を通り,円 $O$ に接する直線はつねに $2$ 本存在します.
例題 点 $P(3,6)$ を通り,円 $x^2+y^2=9$ を通る接線の方程式を求めよ.
接点を $Q(x_1,y_1)$ とすると, $$x_1^2+y_1^2=9 \cdots ①$$ また,$Q$ における接線の方程式は $$x_1x+y_1y=9 \cdots ②$$ です.これが点 $P(3,6)$ を通るので, $$x_1+2y_1=3 \cdots ③$$ ③を①に代入すると, $$(3-2y_1)^2+y_1^2=9$$ $$y_1(5y_1-12)=0$$ したがって,$y_1=0,\frac{12}{5}$ ③より,$y_1=0$ のとき,$x_1=3$,$y_1=\frac{12}{5}$ のとき $x_1=-\frac{9}{5}$ よって②より,求める接線の方程式は $$x=3,-3x+4y=15$$ となります.
このようにして,円の方程式と円外の点 $P$ の座標が与えられたとき,$P$ を通る接線の方程式を求めることができます.