ホーム >> 代数 >> 数字を当てはめて式を最大化する
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問題の説明

等式の最大値を求める問題です.当然,$5!=120$ 通りの全パターンを確かめれば,いつ $S$ が最大値を取るかわかりますが,それは大変面倒です.上手に式変形を工夫すると,$S$ がいつ最大値をとるかがわかります.

並べ替え不等式を知っている人は一瞬で解ける問題です.

考え方・ヒント

まず,直感的にいつ最大値をとるかはなんとなく分かると思います.つまり,大きい数に大きい数をかけた方が大きくなりそうだという直感が働けば,$T=5\times 4 +1\times 2 +0\times 1 +4\times 3 +6\times 5$ が最大だろうという予測が立ちます.問題はこの $T$ が最大値であることを証明することです.

もうひとつわかることは,$0$ にかける数は必ず $1$ であるということです.もしそうでないなら,$0\times 1$ となるように数を入れ替えて,$S$ の値を必ず大きくできるからです.

解法

$1$ は必ず $0$ にかかってなければならないので, $a_1,a_2,a_3,a_4$ を $2,3,4,5$ の並べ替えとして, $$S=6a_1+5a_2+4a_3+a_4$$ とおくことができます.$S$ の最大値が,$T=6\times 5+5\times 4+4\times 3+1\times 2=64$ であることを示します.これを示すためには,$S\le T$ が常に成り立つ (つまり,$a_1,a_2,a_3,a_4$ が $2,3,4,5$ のどんな並べ替えであろうと成り立つ) ことを示せば良いです. $$T-S=6(5-a_1)+5(4-a_2)+4(3-a_3)+(2-a_4)$$ です.これが $0$ 以上であることを示すために,つぎの巧妙な式変形を行います.
$$6(5-a_1)+5(4-a_2)+4(3-a_3)+(2-a_4)$$ $$=(6-5)\color{red}{\underline{\color{black}{(5-a_1)}}}$$ $$+(5-4)\color{red}{\underline{\color{black}{(4+5-a_1-a_2)}}}$$ $$+(4-1)\color{red}{\underline{\color{black}{(3+4+5-a_1-a_2-a_3)}}}$$ $$+\color{red}{\underline{\color{black}{(2+3+4+5-a_1-a_2-a_3-a_4)}}}$$ 見やすいように縦に並べました.ここで,赤線部はすべて $0$ 以上であることに注意してください.したがって,$T-S\ge 0$ が言えます.よって,$S$ の最大値は $T=64$ です.

補足

上の巧妙な式変形はアーベルの総和公式という名前がついている重要な式変形です.
今回の問題の一般的な考察については,下の記事を参考にしてください.
→並べ替え不等式