ホーム >> 数と式 >> 整数部分と小数部分

整数部分と,小数部分の基本事項について解説します.



⇨予備知識


整数部分,小数部分とは

すべての実数に対して,整数部分と小数部分と呼ばれる数がそれぞれただひとつ定まります.実数をこれら $2$ つの部分にわける操作は基本的で,時に重要な役割を演じます.

それぞれ,以下のように定義されます.

整数部分: 実数 $x$ に対して,$x$ を超えない最大の整数がただひとつ存在し,それを $[x]$ と書き,$x$ の整数部分と呼ぶ.

ここで,記号 $[\ ]$ のことをガウス記号,あるいは床関数などと呼びます.ガウス記号に関しては,→ガウス記号の基礎的なことを参照してください.

言い換えると,$[x]$ は $x$ 以下の最大の整数のことです.

小数部分: 実数 $x$ に対して,$x-[x]$ を $x$ の小数部分と呼ぶ.

実数 $x$ の小数部分は $\{x\}$ と書くことが多いです.この記事においてもこの記号を使います.つまり, $$\{x\}=x-[x]$$ です.

・$[3.64]=3$
・$[\pi]=3$
・$[-2.3]=-3$
・$[0]=0$
・$[\sqrt{2}]=1$

・$\{3.64\}=0.64$
・$\{1\}=0$
・$\{-\frac{3}{2}\}=0.5$
・$\{\frac{5}{3}\}=\frac{2}{3}$
・$\{-4.3\}=0.7$

注意

負の数の小数部分は間違えやすいので注意が必要です.$-4.3$ の小数部分は $0.3$ ではなく,$0.7$ です.『小数部分』という言葉に惑わされないように気をつけて下さい.小数部分は,整数部分を求めてから $\{x\}=x-[x]$ という式を用いて計算するのが無難です.

整数部分,小数部分の性質

整数部分,小数部分には様々な性質がありますが,そのうち基本的と思われる性質を紹介します.

整数部分の性質:  $x,y$ を実数,$n$ を整数とする.以下が成り立つ.
$(1)\ [x]=n$ ⇔ $n \le x < n+1$ ⇔ $x-1 < n \le x$
$(2)\ [x]+[y] \le [x+y]$
$(3)\ [x+n]=[x]+n$

($1$) は非常に基本的で重要です.
$$[x]=n ⇔ n \le x < n+1$$ であることは定義からすぐにわかります.また, $$n \le x < n+1 ⇔ x-1 < n \le x$$ が成り立つことを示すのも易しいです.重要なことは,実数 $x$ に対して,ある整数 $n$ を用いて,$n \le x < n+1$ と不等式ではさむことができれば,$x$ の整数部分が求められるということです.つまり,整数部分を求めるためには不等式ではさめばよいのです.

($2$) は和と整数部分の関係を表す不等式です. $$x+y=[x]+[y]+\{x\}+\{y\}$$ であり,$\{x\},\{y\} \ge 0$ であるから, $$x+y=[x]+[y]+\{x\}+\{y\} \ge [x]+[y]$$ です.つまり,整数 $[x]+[y]$ は $x+y$ 以下です.ところで,$[x+y]$ は $x+y$ 以下の最大の整数だったので,結局 $$[x]+[y] \le [x+y]$$ が成り立ちます.

($3$) は次のように示せます.まず,性質 ($1$) より, $$x+n-1 < [x+n] \le x+n$$ が成り立ちます.これより, $$[x+n]-n \le x < [x+n] -n+1$$ です.$[x+n]-n,[x+n] -n+1$ はともに整数なので,再び性質 ($1$) より, $$[x]=[x+n]-n$$ すなわち $$[x+n]=[x]+n$$ が得られます.つまり,整数の部分はガウス記号の外に出すことができるのです.

小数部分の性質:  $x,y$ を実数とする.以下が成り立つ.
$(1)\ 0\le \{x\} < 1$,$\{x\}=0 \Leftrightarrow x が整数$
$(2)\ \{x+y\} \le \{x\}+\{y\}$
$(3)\ \{x\}+\{-x\}= \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 0 \ \ (x \ が整数のとき)\\ 1 \ \ (x \ が整数でないとき) \end{array} \right.  \end{eqnarray}$

($1$) は非常に基本的で重要です.
$0\le \{x\} < 1$ は小数部分の定義からすぐにわかります.また,$\{x\}=0 \Leftrightarrow x が整数$ も明らかです.小数部分は常に $0$ 以上 $1$ 未満ということです.

($2$) は整数部分の性質 ($2$) と対応しています.ちょうど不等号が逆になっていますね.これを示しましょう.
$$x+y=[x]+[y]+\{x\}+\{y\}$$ $$x+y=[x+y]+\{x+y\}$$ が成り立つので,これより, $$\{x\}+\{y\}-\{x+y\}=[x+y]-[x]-[y]$$ が得られます.整数部分の性質 ($2$) より,$[x+y]-[x]-[y] \ge 0$ なので, $$\{x+y\} \le \{x\}+\{y\}$$ が成り立ちます.

($3$) はおまけ程度に付け加えました.ぜひご自身で考えてみてください.

整数部分,小数部分の求め方

ある実数 $x$ が与えられたとき,その整数部分と小数部分はどのようにして求めるのでしょうか.

基本的なアイデアは次の $2$ つです.
・ある整数 $a$ を用いて,不等式 $a\le x < a+1$ を示し,$x$ の整数部分を求める.
・$\{x\}=x-[x]$ を用いて,$x$ の小数部分を求める.

例題 $\frac{5}{\sqrt{6}+1}$ の小数部分を求めよ.

まずは,$\frac{5}{\sqrt{6}+1}$ の整数部分を求めることを考えます.そのためには,ある整数 $n$ によって,$n\le \frac{5}{\sqrt{6}+1} < n+1$ と不等式ではさめればよいです.(このとき,$\frac{5}{\sqrt{6}+1}$ の整数部分は $n$ とわかる)
与えられた式を有理化すると, $$\frac{5}{\sqrt{6}+1}=\frac{5(\sqrt{6}-1)}{(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-1)}=\sqrt{6}-1$$ さてここで,$4 < 6 < 9$ なので根号をとると,$2 < \sqrt{6} < 3$ であり,したがって, $$1 < \sqrt{6}-1 < 2$$ です.よって,$\sqrt{6}-1$ の整数部分は $1$ です.

したがって, $$\left\{\frac{5}{\sqrt{6}+1}\right\}=\sqrt{6}-1-1=\sqrt{6}-2$$ なので,$\frac{5}{\sqrt{6}+1}$ の小数部分は $\boxed{\sqrt{6}-2}$ です.

このように,不等式ではさんで整数部分を求め,$x-[x]$ を使って小数部分を求めるのが最も基本的な方法です.

練習問題

 $\frac{16}{\sqrt{17}-1}$ の小数部分を $x$ とするとき,$\frac{1}{x}$ の値を求めよ.

→solution

まずは,与えられた式を有理化する. $$\frac{16}{\sqrt{17}-1}=\frac{16(\sqrt{17}+1)}{(\sqrt{17}-1)(\sqrt{17}+1)}=\sqrt{17}+1$$ ここで,$4< \sqrt{17} < 5$ より,$5 < \sqrt{17}+1 < 6$.したがって, $$\left[\frac{16}{\sqrt{17}-1}\right]=5$$ これより, $$x=\frac{16}{\sqrt{17}-1}-\left[\frac{16}{\sqrt{17}-1}\right]=\sqrt{17}+1-5=\sqrt{17}-4$$ であるから,再び有理化をすると, $$\frac{1}{x}=\frac{1}{\sqrt{17}-4}=\frac{\sqrt{17}+4}{(\sqrt{17}-4)(\sqrt{17}+4)}=\sqrt{17}+4$$ となる.よって,$\boxed{\frac{1}{x}=\sqrt{17}+4}$ .

 ある正の実数 $a$ の小数部分を $b$ とするとき,$a^2+b^2=30$ が成り立つという.このとき,$a$ の値を求めよ.

→solution

$b$ は小数部分なので,$0 \le b < 1$ である.したがって,$0 \le b^2 < 1$ であり,これより, $29 < a^2 \le 30$ であることがわかる.辺々の根号をとると, $\sqrt{29} < a \le \sqrt{30}$ であるが, $$5 < \sqrt{29} < a \le \sqrt{30} < 6$$ なので,$[a] =5 $ を得る.したがって,$b=a-5$ であるからこれをもとの式に代入して, $$a^2+(a-5)^2=30$$ これを整理すると, $$2a^2-10a-5=0$$ これを解くと,$a=\frac{5\pm \sqrt{35}}{2}$ を得る.$a > 0$ なので,$\boxed{a = \frac{5+\sqrt{35}}{2}}$ .

 ある正の実数 $a$ の小数部分を $b$ とするとき,$a+b=\sqrt{2}a$ が成り立つという.このとき,$a$ の値を求めよ.

→solution

$b=(\sqrt{2}-1)a$ である.$b$ は小数部分なので,$0 \le b < 1$ である.したがって, $$0 \le (\sqrt{2}-1)a < 1$$ つまり, $$0 \le a <\frac{1}{\sqrt{2}-1}=\sqrt{2}+1< 3$$ したがって,$[a]=0,1,2$ のいずれかである.それぞれの場合について考える.

$[a]=0$ のとき,$a=b$ であるから,元の式より,$a=0$ となる.これは,$a > 0$ に矛盾するから不適.

$[a]=1$ のとき,$b=a-1$ であるから,これをもとの式に代入すると, $$a=\frac{1}{2-\sqrt{2}}=\frac{2+\sqrt{2}}{2}$$ を得る.$1 < \frac{2+\sqrt{2}}{2} < 2$ であるから,$a=\frac{2+\sqrt{2}}{2}$ の整数部分は確かに $1$ であり,条件を満たす.

$[a]=2$ のとき,$b=a-2$ であるから,これをもとの式に代入すると, $$a=\frac{2}{2-\sqrt{2}}=2+\sqrt{2}$$ を得る.しかし,$3< 2+\sqrt{2} < 4$ であるから,$a=2+\sqrt{2}$ の整数部分は $3$ となり,これは条件に矛盾する.

以上より,$\boxed{a=\frac{2+\sqrt{2}}{2}}$ .