チェバの定理とその逆|思考力を鍛える数学

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date-6137506 2017/4/11 category-5934751 平面図形

三角形の頂点を通る $3$ 直線が $1$ 点で交わるとき,次のチェバの定理が成り立ちます.

チェバの定理: $△ABC$ の頂点 $A,B,C$ と,この三角形の辺上にもその延長上にもない点 $O$ を結ぶ各直線が,対辺またはその延長とそれぞれ点 $P,Q,R$ で交わるとき,次が成り立つ.
$$\large \frac{AR}{RB}\frac{BP}{PC}\frac{CQ}{QA}=1$$

定理の主張で述べられている状況は,点 $O$ が $△ABC$ の内部にあるときと,外部にあるときの $2$ つの場合があります.いずれの場合についても, $$\frac{AR}{RB}\frac{BP}{PC}\frac{CQ}{QA}=1$$ という式が成り立ちます.

チェバの定理は一見複雑な主張のように見えますが,あるコツさえ知ってしまえば,いつでも迷うことなく立式できます.直線と三角形の辺(またはその延長)との交点を分点と呼ぶことにします.つまり,点 $P,Q,R$ が分点です.下図ではわかりやすいように頂点を赤色,分点は青色で書いています.そこで,チェバの定理の左辺の式は,ある頂点から出発して,分点と頂点を交互にたどっていくことで,立式できます.

つまり,$△ABC$ の頂点 $A$ から出発して,$\color{red}{A}→\color{blue}{R}→\color{red}{B}→\color{blue}{P}→\color{red}{C}→\color{blue}{Q}→\color{red}{A}$ とたどっていきながら分母と分子を書いていけば,自然に立式できます. $$\large \frac{\color{red}{A}\color{blue}{R}}{\color{blue}{R}\color{red}{B}}\frac{\color{red}{B}\color{blue}{P}}{\color{blue}{P}\color{red}{C}}\frac{\color{red}{C}\color{blue}{Q}}{\color{blue}{Q}\color{red}{A}}=1$$ 単に定理の記号をそのまま覚えるのではなく,立式の仕方を覚えた方が間違えません.

チェバの定理は,三角形の面積と線分の比の関係を用いることで証明できます. 下図のように,$△ABC$ において,$A$ を通る直線と,線分 $BC$ との交点を $D$ とし,$AD$ 上に点 $O$ をとります.

このとき, $$\large BD:DC=△AOB:△AOC$$ が成り立ちます.以下のチェバの定理の証明は,この事実のみを用いています.

証明: 三角形の面積と線分の比より, $$\frac{AR}{RB}=\frac{△OAC}{△OBC} \cdots ①$$ $$\frac{BP}{PC}=\frac{△OAB}{△OAC} \cdots ②$$ $$\frac{CQ}{QA}=\frac{△OBC}{△OAB} \cdots ③$$ ①,②,③ 式を辺々かけると, $$\frac{AR}{RB}\frac{BP}{PC}\frac{CQ}{QA}=\frac{△OAC}{△OBC}\frac{△OAB}{△OAC}\frac{△OBC}{△OAB}=1$$

チェバの定理はその逆の主張も成り立ちます.この定理は,$3$ 直線が一点で交わることを証明するときによく用いられます.

チェバの定理の逆: $△ABC$ の辺 $BC,CA,AB$ またはその延長上に,それぞれ点 $P,Q,R$ があり,この $3$ 点のうち,$1$ 個または $3$ 個が辺上の点であるとする.このとき, $$\large \frac{AR}{RB}\frac{BP}{PC}\frac{CQ}{QA}=1$$ が成り立つならば,$3$ 直線 $AP,BQ,CR$ は $1$ 点で交わる.

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