ホーム >> 多項式 >> 組み立て除法のやり方と原理

組み立て除法のやり方と原理を紹介します.




組み立て除法とは

組み立て除法とは,整式 $f(x)$ を $1$ 次式 $x-\alpha$ で割ったときの商と余りを簡単に決定する方法です.整式の割り算は筆算を使えばもちろん答えが求まります.しかし,整式を $1$ 次式で割る場合には組み立て除法が使えます.慣れれば筆算を行うより,組立除法の方が圧倒的に早くできるので,便利です.

組み立て除法のやり方

組み立て除法を用いて,整式 $f(x)=x^4-x^3-4x^2+5x-2$ を $1$ 次式 $x-2$ で割ってみましょう.まず,$f(x)$ の係数 $1,-1,-4,5,2$ をこの順に横に並ベて書きます.そして,$x-2$ で割るので,$2$ を左上に書きます.(一般に,$x-\alpha$ で割るときは,$\alpha$ を左上に書きます.)


そして,ここから,次のように数を埋めていきます.
まず,一番左の位置にある $1$ をそのまま横線の下に書きます.次に,その $1$ の右上に $1$ を $2$ 倍した値を書きます.(一般に $x-\alpha$ で割るときは,$\alpha$ 倍した数を書きます.)そして,$2$ の下に,縦の $2$ つの数を足したもの,すなわち $-1+2=1$ を書きます.以下同様にして数を埋めていきます.

これはつまり,赤い矢印は縦に足す青い矢印は $\alpha$ 倍 (上の例では $2$ 倍) という操作を行うということです.この操作を最後まで行います.そして,横線の下に書いてある数を見ます.一番右に書いてある数が余りとなり,それ以外の部分が商の係数を表しています.

つまり,この例では $x^4-x^3-4x^2+5x-2$ を $x-2$ で割ったときの商は $$x^3+x^2-2x+1$$ であり,余りは $0$ であることがわかります.

上の例では $4$ 次式を $1$ 次式で割りましたが,一般には,割られる側の整式の次数は何次式でも使えます.ただし,割る側は $1$ 次式でなければ組み立て除法は使えません.

例題

$x^3+2x^2+4x+3$ を $x-2$ で割った商と余りを求める.

下図のように組立除法を行えば,

商が $x^2+4x+12$ ,余りが $27$ であることがわかります.


$x^4+x^3+x^2-1$ を $x+1$ で割った商と余りを求める.

下図のように組立除法を行えば,

商が $x^3+x-1$ ,余りが $0$ であることがわかります.


$x+\alpha$ で割るときは,$-\alpha$ を左上に立てることに注意してください.$x+1$ で割るときは,$-1$ を左上に書きます.また,$x^4+x^3+x^2-1$ などのように,係数が $0$ である項がある場合は,組立除法のときには忘れずに $0$ を書きましょう.$0$ を書かずに詰めて書いてしまうとおかしなことになります.

$3x^3+7x^2-x-1$ を $3x+1$ で割った商と余りを求める.

組み立て除法は $1$ 次式 $x-\alpha$ で割る場合しか使えません.したがって,この場合は,まず $x+\frac{1}{3}$ で割ることを考えます.

上の組み立て除法より, $$3x^3+7x^2-x-1=(3x^2+6x-3)\left(x+\frac{1}{3}\right)$$ であることがわかります.したがって, $$3x^3+7x^2-x-1=(x^2+2x-1)(3x+1)$$ となるので,商は $x^2+2x-1$,余りは $0$ です.

組み立て除法の原理

組み立て除法でなぜ商と余りが求められるのかを説明します.やや抽象的な議論になりますが,一般の場合で証明してみましょう.

多項式 $f(x)=a_0x^n+a_1x^{n-1}+\cdots+a_{n-1}x+a_{n}$ を $1$ 次式 $x-\alpha$ で割ることを考えます.ここでは,$a_0,a_1,...,a_n,\alpha$ はすべて実数としておきます.

組み立て除法において,横線の下に書かれるべき数を下図のように文字 $b_0,b_1,...,b_n$ でおきます.

すると,次の漸化式 $$b_0=a_0$$ $$b_{k}=a_{k}+\alpha b_{k-1}  (1 \le k \le n)$$ が成り立ちます.

組み立て除法によれば,$f(x)$ を $x-\alpha$ で割った商は $b_0x^{n-1}+b_{1}x^{n-2}+\cdots+b_{n-2}x+b_{n-1}$,余りは $b_{n}$ となっているはずです.つまり,組み立て除法の正当性を示すには,等式 $$f(x)=(x-\alpha)(b_0x^{n-1}+b_{1}x^{n-2}+\cdots+b_{n-2}x+b_{n-1})+b_{n}$$ が成り立つことを示せばよいです.

実際に, $(x-\alpha)(b_0x^{n-1}+b_{1}x^{n-2}+\cdots+b_{n-2}x+b_{n-1})+b_{n}$ を計算してみましょう.これは以下の筆算によって,計算できます. \begin{array}{cccccccc} &b_{0}x^n&+b_{1}x^{n-1}&+&\cdots&+b_{n-2}x^2&+b_{n-1}x&+b_{n} \\ +&&-\alpha b_{0}x^{n-1}&-&\cdots&-\alpha b_{n-3}x^2&-\alpha b_{n-2}x&-\alpha b_{n-1} \\ \hline &b_0x^n&+(b_1-\alpha b_0)x^{n-1}&+&\cdots&+(b_{n-2}-\alpha b_{n-3})x^{2}&(b_{n-1}-\alpha b_{n-2})x&(b_{n}-\alpha b_{n-1}) \\ \end{array} ここで,漸化式 $b_{k}=a_{k}+\alpha b_{k-1}  (1 \le k \le n)$ を用いると, $$b_{0}x^n+(b_1-\alpha b_0)x^{n-1}+\cdots+(b_{n-1}-\alpha b_{n-2})x+(b_{n}-\alpha b_{n-1})=a_0x^n+a_1x^{n-1}+\cdots+a_{n-1}x+a_{n}=f(x)$$ よって, $$f(x)=(x-\alpha)(b_0x^{n-1}+b_{1}x^{n-2}+\cdots+b_{n-2}x+b_{n-1})+b_{n}$$ が示せました.以上により,組み立て除法によって確かに商と余りが求まっていることがわかります.