$x,y,z$ は正とは限らないことに注意してください. \begin{array}{ccc} \begin{cases} x^2 \ge 1& \\ y^2 \ge 1& \\ z^2 \ge 1 \end{cases} &または& \begin{cases} x^2 \le 1& \\ y^2 \le 1& \\ z^2 \le 1 \end{cases} \end{array} を示せばよいです.与えられた式をどのように見るかがポイントです.与えられた式は対称式ですが,あえて対称性を崩した見方をしてみるのもひとつの手です.対称性を利用できるところは利用しましょう.以下,$2$ 通りの解法を紹介します.
解法$-$ 次方程式としてみる-
与えられた方程式を $x$ の $2$ 次方程式だと考えて $x$ についてまとめると, $$x^2-2(yz)x+y^2+z^2-1=0$$ となります.$x$ は実数なので,この方程式は実数解をもたなければなりません.したがって(判別式) $\ge$ $0$ という条件が成り立つので, $$(yz)^2-y^2-z^2+1 \ge 0$$ すなわち, $$(y^2-1)(z^2-1) \ge 0$$ となるので, \begin{array}{ccc} \begin{cases} y^2 \ge 1& \\ z^2 \ge 1& \end{cases} &または& \begin{cases} y^2 \le 1& \\ z^2 \le 1& \end{cases} \end{array} が成り立ちます. 今度は与えられた方程式を $y$ の $2$ 次方程式だと考えて同様の議論をすれば, \begin{array}{ccc} \begin{cases} x^2 \ge 1& \\ z^2 \ge 1& \end{cases} &または& \begin{cases} x^2 \le 1& \\ z^2 \le 1& \end{cases} \end{array} となります. これを前の結果と合わせると, \begin{array}{ccc} \begin{cases} x^2 \ge 1& \\ y^2 \ge 1& \\ z^2 \ge 1 \end{cases} &または& \begin{cases} x^2 \le 1& \\ y^2 \le 1& \\ z^2 \le 1 \end{cases} \end{array} となって,主張が示されます.
解法$-平方完成してみる-
別の解き方として,平方完成してみるという手もあります.与えられた式を $x$ で平方完成すると, $$(x-yz)^2-y^2z^2+y^2+z^2=1$$ となります.さらに変形すると, $$(y^2-1)(z^2-1)=(x-yz)^2 \ge 0$$ という形になります.これより, \begin{array}{ccc} \begin{cases} y^2 \ge 1& \\ z^2 \ge 1& \end{cases} &または& \begin{cases} y^2 \le 1& \\ z^2 \le 1& \end{cases} \end{array} がいえます.あとは前の議論と同様に,$y$ で同じことを考えればよいです.
昔の京都大学の入試問題で出題されたものです.