集合に関する記号の表し方|思考力を鍛える数学

様々な集合に関する記号の意味についてまとめました.

集合とは,いくつかのものや数の集まりのことを言います.集合を構成する個々のもののことを元 (または要素) といいます.集合は波括弧 {} を用いて記述するのが慣例です. 一般に,集合の表し方は $2$ 通りあります.

外延的定義

集合の要素をすべて書き並べる記述法を,外延的定義と言います.
$$X=\{1,2,3,4,5\}$$ $$Y=\{a,i,u,e,o\}$$ $$Z=\{1,2,3,4,\cdots\}$$ 集合では,要素を書き並べる順番は関係ありません.たとえば, $$\{2,3,5,1,4\}$$ は,上の集合 $X$ と同じ集合です.

内延的定義

集合をある性質で特徴づける記述法を,内延的定義と言います.下の $3$ つの集合 $X,Y,Z$ は上の $X,Y,Z$ とそれぞれ対応しています.表記法は違っても同じ集合を表しています. $$X=\{n\ |\ n\ は\ 1\ 以上\ 5\ 以下の整数\}$$ $$Y=\{x\ |\ x\ はアルファベットのうち,母音であるもの\}$$ $$Z=\{n\ |\ n\ は自然数\}$$

$\color{red}{a \in X}$ ・・・$a$ は $X$ に属する $\color{red}{a \notin X}$ ・・・$a$ は $X$ に属さない 集合は大文字のアルファベットで書き,その元は小文字のアルファベットで書くのが慣例です.

部分集合

$\color{red}{B \subset A}$ ・・・集合 $B$ は集合 $A$ の部分集合

集合 $B$ の元のすべてが集合 $A$ に含まれているとき,$B$ は $A$ の部分集合であるといいます.

$\color{red}{A \cup B}$・・・集合 $A$ と集合 $B$ の和集合 ($A$ カップ $B$ と言うこともある) 集合 $A$ と集合 $B$ に対して,少なくとも $A$ か $B$ のどちらかに属している元の全体を $A$ と $B$ の和集合といいます.

たとえば, $A=\{1,2,3\}, B=\{3,4,5\}$ のとき, $$A \cup B=\{1,2,3,4,5\}$$ です.

$\color{red}{A \cap B}$・・・集合 $A$ と集合 $B$ の共通部分 ($A$ キャップ $B$ と言うこともある) 集合 $A$ と集合 $B$ に対して,$A$ にも $B$ にも属している元の全体を $A$ と $B$ の共通部分といいます.

たとえば, $A=\{1,2,3\}, B=\{3,4,5\}$ のとき, $$A \cap B=\{3\}$$ です.

$\color{red}{A^{c},\bar{A}}$・・・集合 $A$ の補集合 ある集合の補集合という言葉は,全体集合が設定されていて,はじめて意味を持つ概念です.集合 $A$ の補集合は,全体集合の元であって,$A$ に属さないもの全体です.

たとえば,全体集合 $X$ を整数全体として,集合 $A$ を偶数全体の集合,すなわち,$A=\{2n\ |\ nは整数\}$ とすると,$A$ の補集合は奇数全体の集合です.

$\color{red}{\phi}$・・・要素をひとつも持たない集合

空集合はあらゆる集合の部分集合です.

高校数学では登場することはないであろうその他の概念を紹介します.

差集合

$\color{red}{A-B,\ A\B}$・・・集合 $A$ から集合 $B$ を引いた集合 集合 $A$ の元であって,$B$ の元でないもの全体を,$A$ から$B$ をひいた差集合 (または,$A$ における $B$ の差集合) といいます.補集合と共通部分を用いれば,$A-B=A \cap B^{c}$ と表せます.

たとえば,$A=\{1,2,3,4,5\}, B=\{3,4,5,6,7\}$ のとき, $$A-B=\{1,2\}$$ です.

$\color{red}{A\vartriangle B}$・・・集合 $A$ と集合 $B$ の対称差 集合 $A$ から $B$ をひいた集合と,$B$ から $A$ をひいた集合の和集合を $A$ と $B$ の対称差といいます.つまり,$A\vartriangle B=(A-B) \cup(B-A)$ です.これは,$A\vartriangle B=(A \cup B)-(A \cap B)$ と表すこともできます.

たとえば,$A=\{1,2,3,4,5\}, B=\{3,4,5,6,7\}$ のとき, $$A \vartriangle B=\{1,2,6,7\}$$ です.

$\color{red}{2^{A}}$・・・集合 $A$ のべき集合 べき集合はいままでの概念とは少し毛色が違います.集合 $A$ のべき集合とは,$A$ のあらゆる部分集合を元にもつ集合です.つまり,集合を元にもつ集合です.(これを集合族といいます) たとえば,$A=\{a\}$ とすると,$2^A=\{\phi,{a}\}$ です.

また,$B=\{a,b\}$ とすると,$2^B=\{\phi,\{a\},\{b\},\{a,b\}\}$ です.

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