表の一般式|思考力を鍛える数学

上の表は,正の整数を左上から順に,ななめ左下方向に並べてあります.$i$ 行 $j$ 列にある整数を $i,j$ を用いて表すのが問題です.規則性をうまく見つけて解くのがポイントです,いろいろな考え方で解くことができるので,自分なりの方法を探して解くのが面白いと思います.以下に,$2$ つの解法を簡単に示してあります.

解法 $ー1列目の数列に注目するー

一列目の数は順番に,$1,3,6,10,15,\cdots$ となっています.これは,$1,1+2,1+2+3,1+2+3+4,1+2+3+4+5,\cdots$ なので,$i$ 行 $1$ 列の数は,$1$ から $i$ までの和で, $$P(i,1)=\frac{1}{2}i(i+1)$$ と予想できます.(証明も容易.) さらに,$i$ 行の数列を左から右に見ていくと,隣り合う数の差が順に,$i,i+1,i+2,\cdots$ となっていくのがわかります.したがって, $$P(i,j)-P(i,j-1)=i+j-2  (j \ge 2)$$ なので,これを解くと, $$P(i,j)=P(i,1)+\sum_{k=2}^j (i+k-2)=\frac{1}{2}i(i+1)+i(j-1)+\frac{1}{2}(j-2)(j-1) \\ =\frac{1}{2}(i^2+2ij+j^2-i-3j+2)  (j \ge 2)$$ となります.これは,$j=1$ の時も成り立ちます.よって, $$P(i,j)=\frac{1}{2}(i^2+2ij+j^2-i-3j+2)$$ が求める答えとなります.

解法 $ー並べ方そのものに注目するー

問題の並べ方そのものに注目しましょう.下図のような右上から左下に向かうラインに添って数が並べられています.
$i$ 行 $j$ 列にある整数が何本目のラインに乗っているか考えてみましょう.たとえば,$1$ 行 $1$ 列の数は $1$ 本目,$2$ 行 $3$ 列の数は $4$ 本目のラインに乗っています.

少し考えるとわかるように,$k$ 本目のライン上の数の,行と列の和は $k+1$ で不変です.したがって,$i$ 行 $j$ 列にある整数は $i+j-1$ 本目のラインに乗っています.さらに,この数はまさしく $i$ 行にあるので,$i+j-1$ 本目のラインの $i$ 番目の数ということになります.$i+j-2$ 本目のラインの一番最後に現れる数は,$1$ から $i+j-2$ の和で, $$\frac{1}{2}(i+j-2)(i+j-1)$$ なので,結局, $$P(i,j)=\frac{1}{2}(i+j-2)(i+j-1)+i=\frac{1}{2}(i^2+2ij+j^2-i-3j+2)$$ が答えです.

補足

$P(i,j)$ は $\mathbb{N}\times\mathbb{N}$ から $\mathbb{N}$ への全単射を与えています.したがって,集合 $\mathbb{N}\times\mathbb{N}$ は可算無限集合です.

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