問 $\angle A=90°$,$AB=1$である直角三角形 $ABC$ について,$AB=DB$となるように点 $D$ を辺 $BC$ 上にとる.また, $\angle ABC=\angle ADE$ となるように点 $E$ を辺 $AC$ 上にとる.
($1$) $\angle ABC=30°$のとき,$CE$ の長さを求めよ.
($2$) $\angle ABC=2\theta$ のとき,比 $AC:CE$ を $\theta$ を用いて表せ.($\theta$ の単位はラジアンである.)
2016/5/11
幾何
★☆☆☆☆
三角比の練習問題のつもりで出題しました.($1$) は初等幾何の知識のみで解けます.また,三角比を用いて順番に長さを求めていっても求まります.($2$) は解き方によっては多少計算が複雑になるかもしれません.また,答えの表示の仕方はいろいろあると思いますが,あっていればもちろんすべて正解です.結果はかなりシンプルになります.
$\angle ABC=30°$のときは,直角三角形 $ABC$ は三角定規になっています.$AC:BC:AB=1:2:\sqrt{3}$ なので,$AC=\frac{\sqrt{3}}{3},BC=\frac{2\sqrt{3}}{3}$です.したがって,
$$CD=BC-BD=\frac{2\sqrt{3}}{3}-1$$
また,$△ABD$ は二等辺三角形で,$\angle ADB=75°$ なので,$\angle CDE=75°$.ゆえに $\angle CED=180°-(\angle CDE+\angle DCE)=45°$となります.三角形 $CDE$ に正弦定理を用いると,
$$\frac{CE}{\sin \angle CDE}=\frac{CD}{\sin \angle CED}$$
より,
$$CE=\frac{\sin 75°}{\sin 45°}(\frac{2\sqrt{3}}{3}-1)$$
となって,$\sin 75°=\frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}$ を用いれば,
$$CE=\frac{3-\sqrt{3}}{6}$$
です.
補足: 正弦定理を用いずに初等幾何のみでももちろん解けます.たとえば,$\angle A$の二等分線と線分 $BC$ との交点を $F$ とすれば,$\angle CED=45°$ だったので,$AF$ と $ED$ は平行です.角の二等分線定理より,$AB:AC=BF:CF$ なので,$CF=\frac{3-\sqrt{3}}{3}$ がわかり, $$CE:CD=CA:CF$$ から $CE=\frac{3-\sqrt{3}}{6}$ を導くことができます.
三角比を用いて,$AD,CD$などの線分の長さを順次求めていけば($2$)についても答えは出せますが,計算が多少複雑になるのでここでは,シンプルな解き方を紹介します.
$BC$ に関して $A$ と対称な点を $G$ とします.
$\angle ADE+\angle ADB+\angle BDG=180°$ となるので,三点 $E,D,G$ は同一直線上にあります.
$\angle CEG=3\theta,\angle CGE=\theta$ です.よって,三角形 $CGE$ に正弦定理を用いれば,
$$AC:CE=GC:CE=\sin 3\theta:\sin \theta$$となります.
求める答えは
$$\color{red}{\sin 3\theta:\sin \theta}$$
です.
当然,$3-4\sin^2 \theta :1$ なども正解となります.
結果がとてもシンプルです.