三進法と十進法|思考力を鍛える数学

まずは何も見ずに考えてみてください.暗算で解ける方も多いと思います. たとえば,十進法で$1$から$9$までの数を三進法で書いてみると次のようになります. $1→1_{(3)}$ $2→2_{(3)}$  $3→10_{(3)}$  $4→11_{(3)}$  $5→12_{(3)}$  $6→20_{(3)}$  $7→21_{(3)}$  $8→22_{(3)}$  $9→100_{(3)}$ 

すべての自然数はこのように$0,1,2$をいくつか並べたもので三進法表示できます.$1$から$3^{10}$までの自然数をすべて紙に書くことは現実的な解法ではないので,工夫が必要です.

考え方

上のように$1$から$9$ぐらいの少ない個数についてなら,すべて三進法表示して,小さい方から順に$2$の個数をカウントしていくやり方で解けます.ところが,問題は$1$から$3^{10}$までなので,このやり方は望ましくありません.そこで発想を転換して数え方を変えてみます.
一番大きい数字である$3^{10}$を三進法表示すると, $$3^{10}→10000000000_{(3)}$$ と,$1$の後に$0$が$10$個並ぶ$11$桁の数です.したがって,$3^{10}$より小さな自然数は三進法で$10$桁以下で表せます.ここで,$3^{10}$より小さな自然数については必要ならばいくつかの$0$を右側から加えることですべて擬似的に$10$桁の数とみなすことにします.たとえば,$1$から$9$までの数ならば, $1→0000000001_{(3)}$ $2→0000000002_{(3)}$  $3→0000000010_{(3)}$  $4→0000000011_{(3)}$  $5→0000000012_{(3)}$  $6→0000000020_{(3)}$  $7→0000000021_{(3)}$  $8→0000000022_{(3)}$  $9→0000000100_{(3)}$  と考えれば,すべて$10$桁の数だと思えます.このとき,加えているのは$0$のみなので,$2$の個数に影響はありません.

逆に,$0,1,2$を$10$個並べると,十進法で$1$から$3^{10}-1$までの数をただひとつ表していることになります.

ある桁を$で固定して考える

さて,上のように三進法で擬似的に$10$桁とみなした数について,$k$(1 ≤ k ≤ 10)桁目が$2$であるようなものを考えます.他の$9$桁の数は$0,1,2$の何かなので,そのようなものは$3^9$個あります.つまり,$k$桁目に$2$が書かれる自然数は$3^9$個あるということです.したがって,紙に書かれた$2$の個数は全部で, $$\sum_{k=1}^{10} 3^9=10 \times 3^9$$ より,$10 \times 3^9$個あります.

ものの数え方にも様々なやり方があります.

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