ホーム >> 数と式 >> 複2次式の因数分解

この記事では,因数分解はすべて有理数の範囲で考えます.



⇨予備知識

・ $2$ 次方程式の因数分解のやり方



複2次式とは

次数がすべて偶数であるような多項式を複2次式といいます.

複2次式の例

・$x^4+1$
・$3x^4-2x^2+4$
・$x^6+3x^2+2$
・$x^2y^4+y^2+1$

この記事では,複2次式の因数分解の考え方を紹介します.$2$ 次の多項式の因数分解は,たすきがけや平方完成や解の公式などを用いればできます.$3$ 次以上の多項式の因数分解は,因数定理を使う方法がよく知られています.一般には上記の方法でうまくいかなければ,非常に難しい問題か,因数分解がそもそもできないかのどちらかです.しかし,多項式が複2次式であるという特別な場合には,上記以外の方法が使えることがあります.

当然,複2次式でも $x^4+1$ などのように因数分解が(有理数の範囲で)そもそもできないという場合はありえます.以下では,特に次数が $4$ 以下の複2次式で,因数分解できるものに関して,そのやり方を紹介します.

$1$ 変数の複2次式

複2次式の因数分解は大きく $2$ パターンに分けられます.ひとつは,変数変換で $2$ 次式の因数分解に帰着する方法で,もうひとつは,新しい項を足して引くことで平方の差をつくる方法です.基本的には,まず前者のやり方で試してみて,うまくいかなければ後者のやり方を試すとよいでしょう.

変数変換で解く場合

例題 次の式を因数分解せよ. $$x^4-6x^2+5$$

まず,$X=x^2$ と変数変換します.すると, $$x^4-6x^2+5=X^2-6X+5$$ となりますが,右辺は $X$ についての $2$ 次式で,これはたすきがけによって, $$X^2-6X+5=(X-1)(X-5)$$ と因数分解できます.これに $X=x^2$ を代入して $X$ の式をもとの $x$ の式にもどします. $$(X-1)(X-5)=(x^2-1)(x^2-5)$$ 最後に,$x^2-1$ は因数分解できるので, $$(x^2-1)(x^2-5)=(x+1)(x-1)(x^2-5)$$ となります.よって, $$x^4-6x^2+5=(x+1)(x-1)(x^2-5)$$ が答えとなります.(この記事では,因数分解は有理数の範囲で考えているので,$x^2-5=(x+\sqrt{5})(x-\sqrt{5})$ とはしません.)

$X=x^2$ という変数変換によって,$4$ 次式の因数分解を $2$ 次式の因数分解に帰着させて解いています.

平方の差の公式を利用する場合

例題 次の式を因数分解せよ.  $$x^4+x^2+1$$

この問題は先ほどのように変数変換で解こうとするとうまくいきません.実際, $X=x^2$ とおくと, $$x^4+x^2+1=X^2+X+1$$ となりますが,これは有理数の範囲では因数分解できません.では元の式は因数分解できないのではないか,と思われるかもしれませんが,実は元の式は因数分解できてしまうのです!したがって,実際に因数分解するためには変数変換とは別のアプローチが必要となります.それが平方の差をつくるという方針です.

いま仮に,ある有理数 $a,b$ を用いて, $$x^4+x^2+1=(x^2+a)^2-b^2x^2 \cdots (*)$$ とかけたとすると,平方の差の公式 ($a^2-b^2=(a+b)(a-b)$) を用いて, $$(x^2+a)^2-b^2x^2=(x^2+bx+a)(x^2-bx+a)$$ となって,$x^4+x^2+1=(x^2+bx+a)(x^2-bx+a)$ と因数分解できることになります.したがって式 $(*)$ を満たすような有理数 $a,b$ をみつけてこれれば問題は解決します.そこで,式 $(*)$ の右辺を展開すると, $$x^4+x^2+1=x^4+(2a-b^2)x^2+a^2$$ となります.この等式の両辺の係数を比較すると,$2a-b^2=1,\ a^2=1$ を得ます.これより,$(a,b)=(1,1)$ は式 $(*)$ を満たします.以上より, $$x^4+x^2+1=(x^2+1)^2-x^2=(x^2+x+1)(x^2-x+1)$$ と因数分解できます.

別の言い方をすれば,元の式に $x^2$ を足して $x^2$ を引くという操作を行って, $$x^4+x^2+1=x^4+2x^2+1-x^2=\color{red}{(x^2+1)^2-x^2}=(x^2+x+1)(x^2-x+1)$$ と式変形しているということです.すなわち,新しい項を足して引くことで平方の差を見事に作り出しているのです.(そして,どのような項を足して引けばうまくいくのかを決めるために上記のように $a,b$ を決めるという議論を行っています)

$2$ 変数の複2次式

おまけとして $2$ 変数の場合のやり方も紹介します.この場合も $1$ 変数の場合と考え方は同じです.

変数変換で解く場合

例題 次の式を因数分解せよ.  $$2x^4-x^2y^2-y^4$$

まず,$X=x^2,Y=y^2$ と変数変換します.すると, $$2x^4-x^2y^2-y^4=2X^2-XY-Y^2$$ となりますが,右辺を $X$ の $2$ 次方程式だと思ってたすきがけすると, $$2X^2-XY-Y^2=(2X+Y)(X-Y)$$ と因数分解できます.これに $X=x^2,Y=y^2$ を代入して, $$(2X+Y)(X-Y)=(2x^2+y^2)(x^2-y^2)=(2x^2+y^2)(x+y)(x-y)$$ 以上より, $$2x^4-x^2y^2-y^4=(2x^2+y^2)(x+y)(x-y)$$ と因数分解できます.

平方の差の公式を利用する場合

例題 次の式を因数分解せよ. $$x^4+4y^4$$

与式に $4x^2y^2$ を足して引くことで, $$x^4+4y^4=x^4+4x^2y^2+4y^4-4x^2y^2=(x^2+2y^2)^2-(2xy)^2=(x^2+2xy+2y^2)(x^2-2xy+2y^2)$$ と因数分解できます.