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$1$ 変数多項式の最大公約数,最小公倍数の定義と例を紹介します.



⇨予備知識


整数の最大公約数,最小公倍数

まずは,整数の最大公約数,最小公倍数について復習しましょう.この記事では,約数や倍数といえば常に自然数の範囲で考えることにします.

$2$ つ以上の整数において,それらに共通する約数を公約数といい,公約数のうち最大のものを最大公約数と言います.整数 $a_1,...,a_n$ の最大公約数を,英語表記の greatest common divisor の頭文字をとって,$gcd(a_1,...,a_n)$ などと表します.また,最大公約数が $1$ であるような $2$ つ以上の整数は互いに素といいます.

・$2,4$ の公約数は $1,2$
・$6,12,18$ の公約数は $1,2,3,6$
・$4,5$ の最大公約数は $1$ ($4$ と $5$ は互いに素)
・$12,27$ の最大公約数は $3$ ($gcd(12,27)=3$)
・$6,16,28$ の最大公約数は $2$ ($gcd(6,16,28)=2$)

$2$ つ以上の整数において,それらに共通する倍数を公倍数といい,公倍数のうち最小のものを最小公倍数と言います.整数 $a_1,...,a_n$ の最小公倍数を,英語表記の least common multiple の頭文字をとって,$lcm(a_1,...,a_n)$ などと表します.

・$3,4$ の公倍数は $12,24,36,48,...$
・$2,3,5$ の公倍数は $30,60,90,120,...$
・$4,18$ の最小公倍数は $36$ ($lcm(4,18)=36$)
・$3,4,14$ の最小公倍数は $84$ ($lcm(3,4,14)=84$)

注意

・$2$ つ以上の数の最小な公約数は常に $1$ であり,最大の公倍数は存在しません (いくらでも大きい公倍数が常に存在するので).したがって,最小公約数や最大公倍数のようなものを考えることはナンセンスです.

多項式の公約数,公倍数

整数について公約数や公倍数を考えたのと同じようにして,多項式についても公約数や公倍数を考えることができます.この記事では,整数の場合に,正の約数や倍数しか考えなかったのと同じように,多項式の場合では,約数や倍数といえば最高次の係数が $1$ であるようなもののみを考えます.

$2$ つ以上の多項式において,それらに共通する約数を公約数といいます.公約数は必ず有限個存在します.

・$x+3$ と $x+2$ の公約数は $1$
・$(x+2)^4(x-1)$ と $(x+2)^2(x-1)^2$ の公約数は $x+2,(x+2)^2,(x+2)(x-1),(x+2)^2(x-1)$
・$x^3-x^2-x+1,x^2-1$ の公約数は $x+1,x-1,x^2-1$
・$x+1,2(x+1)^2,4(x+1)^4$ の公約数は $x+1$

$2$ つ以上の多項式において,それらに共通する倍数を公倍数といいます.公倍数は必ず無限個存在します.

・$x+3$ と $x-1$ の公倍数は,$(x+3)^m(x-1)^n$ (ただし,$m,n$ は $1$ 以上の整数)
・$(x-1)^2(x+1),x(x+1)$ の公倍数は $(x-1)^{m+1}x^n(x+1)^r$ (ただし,$m,n,r$ は $1$ 以上の整数)
・$x,x(x-1),(x-1)(x+1)$ の公倍数は,$x^m(x-1)^n(x+1)^r$ (ただし,$m,n,r$ は $1$ 以上の整数)

注意

・厳密には,多項式は数でなくて式なので,公約や公倍ではなく,公約や公倍 あるいは,公約や公倍などのように言い方を変えることがあります.
・この記事では,整数に関しては正の約数や倍数しか考えず,多項式に関しては最高次の係数が $1$ の約数や倍数しか考えていません.負の約数や倍数,最高次の係数が $1$ でない約数や倍数を考えることはもちろんできますが,そうすると,最大公約数や最小公倍数がただひとつに定まらなくなるので,やや扱いづらくなります.

多項式の最大公約数

$2$ つ以上の多項式の公約数のうち次数が最大で,最高次の係数が $1$ のもの最大公約数と言います.多項式 $f_1,...,f_n$ の最大公約数を,英語表記の greatest common divisor の頭文字をとって,$gcd(f_1,...,f_n)$ などと表します.また,最大公約数が $1$ であるような $2$ つ以上の多項式は互いに素といいます.

・$3$ と $x$ の最大公約数は $1$
($gcd(3,x)=1$,$3$ と $x$ は互いに素)

・$(x+1)(x-2)^2(x+3)$ と $(x+1)^2(x-2)(x-4)$ の最大公約数は $(x+1)(x-2)$
($gcd((x+1)(x-2)^2(x+3),(x+1)^2(x-2)(x-4))=(x+1)(x-2)$

・$x,x(x-1)^2,x^2(x-1)$ の最大公約数は $x$
($gcd(x,x(x-1)^2,x^2(x-1))=x$)

多項式の最小公倍数

$2$ つ以上の多項式の公倍数のうち次数が最小で最高次の係数が $1$ のもの最小公倍数と言います.多項式 $f_1,...,f_n$ の最小公倍数を,英語表記の least common multiple の頭文字をとって,$lcm(f_1,...,f_n)$ などと表します.

・$x,2x(x-1)$ の最小公倍数は $x^2-x$
($lcm(x,2x(x-1))=x^2-x$)

・$x^2-1,x^2-x-2$ の最小公倍数は $(x+1)(x-1)(x-2)$
($lcm(x^2-1,x^2-x-2)=(x+1)(x-1)(x-2)$)

・$3x,x^2(x+1),(x+1)(x-1)$ の最小公倍数は $x^2(x+1)(x-1)$
($lcm(3x,x^2(x+1),(x+1)(x-1))=x^2(x+1)(x-1)$)