差の絶対値の和の不変性|思考力を鍛える数学

$1$ から $2n$ までの $2n$ 個の数を要素数の等しい $2$ つのグループにわけることを考えます.一方のグループを数の大きい順に並べて,もう一方のグループを数の小さい順に並べます.そして,それらの差の絶対値の総和を計算すると,必ず $n^2$ となることを示す問題です. たとえば,$n=3$ のとき,$\{1,2,…,6\}$ を $\{1,2,5\}$ と $\{3,4,6\}$ のふたつのグループに分けたとすると, $$(\text{左辺})= |5-3|+|2-4|+|1-6|=2+2+5=9$$ となって,確かに $n^2=3^2=9$ と等しいことがわかります.

すべての自然数 $n$ に対して,どのように 要素数の等しい $2$ つのグループにわけたとしても,問題の等式が成り立つことを示してください.

解答例

$a_1,…,a_n$ のうち,$n$ 以上のものの個数を $r$ 個とすると, $$a_1>a_2>\cdots > a_r \ge n > a_{r+1} > \cdots > a_{n}$$ です.このとき,$b_1,…,b_n$ のうち,$n$ 以上のものの個数は $n-r$ 個であるから, $$b_1< b_2 < \cdots < b_r < n \le b_{r+1} < \cdots < b_{n}$$ が成り立ちます.したがって, $$\text{(左辺)} = (a_1-b_1)+\cdots + (a_r-b_r) + (b_{r+1}-a_{r+1})+\cdots +(b_n-a_n)$$ $$=(a_1+\cdots +a_r+b_{r+1}+\cdots b_{n})-(b_1+\cdots +b_r+a_{r+1}+\cdots +a_{n}) \cdots ①$$ です.ところが, $$\{a_1,…,a_r,b_{r+1},…,b_{n}\}=\{n+1,n+2,…,2n\}$$ $$\{b_1,…,b_r,a_{r+1},…,a_n\}=\{1,2,…,n\}$$ なので, $$①= ((n+1)+(n+2)+\cdots +2n)-(1+2+\cdots +n)$$ $$=\frac{1}{2}n(3n+1)-\frac{1}{2}n(n+1)$$ $$=n^2$$ となります.

Copied title and URL