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問題の説明

Five Pirates と呼ばれる古典的で有名な論理パズルの問題です.調べればすぐ解説記事が出てきます.

問題の意味を詳しく説明しましょう.船の上に $5$ 人の海賊がいます.便宜上,これらの海賊の年齢は全て異なるとしておきます.たとえば,年齢が高い順に $A, B, C, D, E$ としておきます.これら $5$ 人で $100$ 枚の金貨を分けます.($1$ 枚の金貨を半分に割ったりするようなことは考えません)

まず,$A$ が金貨の分け方を提案します.すなわち,$a+b+c+d+e=100$ を満たすような $0$ 以上の整数 $a,b,c,d,e$ を宣言し,$A$ に $a$ 枚,$B$ に $b$ 枚,$C$ に $c$ 枚,$D$ に $d$ 枚,$E$ に $e$ 枚の金貨を配るという提案をします.
この提案に対して,$A,B,C,D,E$ は賛成か反対かを投票します.(提案した $A$ 自身も賛成か反対か投票します) 賛成が半数以上のとき,(半数のときも含みます) その提案は採用され,提案の通りに金貨は分配されます.そうでないとき,$A$ は海に投げ飛ばされ死んでしまいます.この場合,船に残った $B,C,D,E$ で金貨を分けることになります.したがって,今度は $B$ が $b+c+d+e=100$ を満たすような $0$ 以上の整数 $b,c,d,e$ を宣言し,...(以下同様) ということをある提案が採用されるまで繰り返します.たとえば,最後まで提案が否決され続けた場合,$E$ は $100$ 枚の金貨を独占できることになります.

$5$ 人の海賊全員が十分に論理的で,自分がもらえる金貨の枚数を最大化しようと考えており,しかし死にたくはないとするとき,はじめの最年長の海賊はどのような分け方を提案するか,というのが問題です.ただし,海賊同士が共謀するようなことはないとします.

ヒント・考え方

提案が否決され,提案したものが海に投げ込まれた後の状況を考えると,海賊の人数が減った状態に対して同じ問題を考えることになります.したがって,海賊の人数が $5$ より小さいときにどうなるのかを先に考えておくのが筋がよさそうです.

海賊の人数が $2$ 人の場合

たとえば,海賊の人数が $5$ 人ではなく $2$ 人のときはどうなるでしょうか.
$2$ 人の海賊を年齢が高い順に $A, B$ とします.
まず,$A$ が自分の提案に反対するメリットは何もないので,$A$ は自分の提案に必ず賛成するとしてよいです.

この場合は $A$ がどのような分け方を提案したとしても提案は否決されます.結果として $A$ は自分が $100$ 枚の金貨をもらい,$B$ に何もあげないという提案をすることにより,$100$ の金貨を獲得することができます.

海賊の人数が $3$ 人の場合

つぎに,海賊の人数が $5$ 人ではなく $3$ 人のときはどうでしょうか.
$3$ 人の海賊を年齢が高い順に $A, B,C$ とします.
さきほどと同様に,$A$ が自分の提案に反対するメリットは何もないので,$A$ は自分の提案に必ず賛成するとしてよいです.

さて,もし $A$ の提案が否決され,海へ投げ飛ばされたとすると,$B,C$ の $2$ 人で金貨をわけることになります.このとき,先ほどの $2$ 人の場合の結果より,$B$ は必ず $100$ 枚の金貨がもらえ,$C$ は必ず何ももらえません.つまり,$A,B,C$ の $3$ 人が船に残っている時点で,$B$ は $A$ が海に投げ飛ばされて欲しいと思っており,$C$ は $A$ が海に投げ飛ばされて欲しくないと思っているということです.また,海賊は血に飢えた傾向があるので,賛成しても反対しても結局同じ枚数の金貨が得られるときは反対します.したがって,$A$ の提案に対して,

・$B$ は必ず反対します.
・$C$ は何ももらえないときは必ず反対し,$1$ 枚以上もらえるときは必ず賛成します.

$A$ は$B,C$ のうち少なくとも $1$ 人の賛成をもらえば提案が可決されます. よって,$A$ は自分が $99$ 枚の金貨をもらい, $B$ には何もあげずに,$C$ に $1$ 枚の金貨をあげるという提案をすることにより,$A,C$ の賛成が得られます.この提案が $A$ にとって最 適であり,もらえる金貨は $99$ 枚です.

海賊の人数が $4$ 人の場合

つぎに,海賊の人数が $5$ 人ではなく $4$ 人のときはどうでしょうか.
$3$ 人の海賊を年齢が高い順に $A, B,C,D$ とします.
さきほどと同様に,$A$ が自分の提案に反対するメリットは何もないので,$A$ は自分の提案に必ず賛成するとしてよいです.

さて,もし $A$ の提案が否決され,海へ投げ飛ばされたとすると,$B,C,D$ の $3$ 人で金貨をわけることになります.このとき,先ほどの $3$ 人の場合の結果より,$B$ は必ず $99$ 枚の金貨がもらえ,$C$ は何ももらえず,$D$ は $1$ 枚の金貨がもらえます.また,海賊が血に飢えた傾向にあることを考慮すると,$A$ の提案に対して,

・$B$ は $99$ 枚より多くもらえるなら必ず賛成し,$99$ 枚以下しかもらえないならば必ず反対します.
・$C$ は $1$ 枚より多くもらえるなら必ず賛成し,$1$ 枚以下しかもらえないならば必ず反対します.
・$D$ は $0$ 枚より多くもらえるなら必ず賛成し,何ももらえないならば必ず反対します.

$A$ は $B,C,D$ のうち少なくとも $1$ 人の賛成をもらえば提案が可決されます. よって,$A$ は自分が $99$ 枚の金貨をもらい, $B$ には何もあげず,$C$ に $1$ 枚の金貨をあげ,$D$ には何もあげないという提案をすることにより,$A,C$ の賛成が得られます.この提案が最適であり,もらえる金貨は $99$ 枚です.

海賊の人数が $5$ 人の場合

さて,以上の結果をふまえて今回の問題を解いてみましょう. $5$ 人の海賊を年齢が高い順に $A, B,C,D,E$ とします.
さきほどと同様に,$A$ が自分の提案に反対するメリットは何もないので,$A$ は自分の提案に必ず賛成するとしてよいです.

さて,もし $A$ の提案が否決され,海へ投げ飛ばされたとすると,$B,C,D,E$ の $4$ 人で金貨をわけることになります.このとき,先ほどの $4$ 人の場合の結果より,$B$ は必ず $99$ 枚の金貨がもらえ,$C$ は何ももらえず,$D$ は $1$ 枚の金貨がもらえ,$E$ は何ももらえません.また,海賊が血に飢えた傾向にあることを考慮すると,$A$ の提案に対して,

・$B$ は $99$ 枚より多くもらえるなら必ず賛成し,$99$ 枚以下しかもらえないならば必ず反対します.
・$C$ は $0$ 枚より多くもらえるなら必ず賛成し,何ももらえないならば必ず反対します.
・$D$ は $1$ 枚より多くもらえるなら必ず賛成し,$1$ 枚以下しかもらえないならば必ず反対します.
・$E$ は $0$ 枚より多くもらえるなら必ず賛成し,何ももらえないならば必ず反対します.

$A$ は $B,C,D,E$ のうち少なくとも $2$ 人の賛成をもらえば提案が可決されます. よって,$A$ は自分が $98$ 枚の金貨をもらい, $B$ には何もあげず,$C$ に $1$ 枚の金貨をあげ,$D$ には何もあげず,$E$ に $1$ 枚の金貨をあげるという提案をすることにより,$A,C,E$ の賛成が得られます.この提案が最適であり,もらえる金貨は $\fbox{98}$ 枚です.


海賊が十分に論理的というのはなんだか違和感がありますね!