連続する自然数の和で表される数|思考力を鍛える数学

$2$ つ以上の連続する自然数の和とは,たとえば,$1+2+3$ や $3+4+5+6+7$ などのことです.(つまり $6,25 \in X$) より形式的に言えば,自然数 $m,n\ (m\ge 1,n\ge 2)$ を用いて, $$m+(m+1)+(m+2)+\cdots +(m+n-1)$$ とかける自然数全体のことを指します.

一方,$2$ のべき乗数とは,$2^0$ や $2^4$ などのことです.より形式的に言えば,$0$ 以上の整数 $m$ を用いて, $$2^{m}$$ とかける自然数全体のことです.そして,$Y$ は $2$ のべき乗数でない数全体です.

一見異なる $X$ と $Y$ が実は集合として一致することを示すのが問題です.

ヒント・考え方

一般に,$2$ つの集合 $X,Y$ が一致することを示すには,$X\subseteq Y$ と $Y\subseteq X$ をそれぞれ示すのが常套手段です.
→集合の相等の証明 つまり,今回の場合は,『$2$ つ以上の連続する自然数の和で表される数が,$2$ のべき乗数でないこと』と『$2$ のべき乗数でない数は,必ず $2$ つ以上の連続する自然数の和で表せられること』の $2$ つを示せばよいです. $m\ (m\ge 1)$ から連続する $n$ 個 $(n\ge 2)$ の自然数の和は, $$m+(m+1)+\cdots +(m+(n-1))=\frac{1}{2}n(2m-1+n)$$ とかけます.

一方,$2$ のべき乗数でない数は,自然数 $a,b \ (a\ge 0,b\ge 1)$ を用いて,$2^a(2b+1)$ とかけます.これらの整数方程式を考えてみてください.

解答例

(I) $X \subseteq Y$ を示します.
$2$ つ以上の連続する自然数の和で表される数が,$2$ のべき乗数でないことを背理法で示します. $m\ (m\ge 1)$ から連続する $n\ (n\ge 2)$ 個の自然数の和は, $$m+(m+1)+\cdots +(m+(n-1))=\frac{1}{2}n(2m-1+n)$$ とかけます.$0$ 以上の整数 $k$ を用いて, $$\frac{1}{2}n(2m-1+n)=2^k$$ とかけるとして,矛盾を示します.

両辺を $2$ 倍すると, $$n(2m-1+n)=2^{k+1}$$ となります.ここで,$2m-1+n> n$ かつ,$2m-1+n$ と $n$ の偶奇は異なるので, $$(n,2m-1+n)=(1,2^{k+1})$$ となります.これは,$n\ge 2$ であることに矛盾します.したがって,$2$ つ以上の連続する自然数の和で表される数が,$2$ のべき乗数でないことが示せました.

(II) $Y \subseteq X$ を示します. $2$ のべき乗数でない数は,必ず $2$ つ以上の連続する自然数の和で表せられることを示します.

$2$ のべき乗数でない数は,自然数 $a,b \ (a\ge 0,b\ge 1)$ を用いて,$2^a(2b+1)$ とかけます.これが.$m\ (m\ge 1)$ から連続する $n\ (n\ge 2)$ 個の自然数の和でかけるとすると, $$2^a(2b+1)=\frac{1}{2}n(2m-1+n) \cdots ①$$ すなわち, $$2^{a+1}(2b+1)=n(2m-1+n)$$ を得ます.前の議論と同様に.$2m-1+n> n$ かつ,$2m-1+n$ と $n$ の偶奇は異なることに注意すると,

(i) $2^{a+1} > 2b+1$ のとき $$(n,2m-1+n)=(2b+1,2^{a+1})$$ したがって, $$(n,m)=(2b+1,2^a-b)$$ を得ます. (ii) $2^{a+1} < 2b+1$ のとき $$(n,2m-1+n)=(2^{a+1},2b+1)$$ したがって, $$(n,m)=(2^{a+1},b+1-2^a)$$ を得ます. (i),(ii) いずれの場合も,式 ①が成り立つような.自然数 $m,n$ が確かに存在します.したがって,$2$ のべき乗数でない数は,必ず $2$ つ以上の連続する自然数の和で表せられることが示せました.

以上,(I),(II) より,$X=Y$ が示されました.

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