$3$つの直角三角形の内接円|思考力を鍛える数学

3つの直角三角形とその内接円に関する問題です.図形の問題ですので,まずは図を書いてみましょう.

$△ABC$の内接円は書くと図が混雑するのであえて書きませんでした.図を書くときは,全部を一つの図に書くのではなく,部分的な箇所だけ書いたほうがスッキリするので良いです.図を書くと,$PQ$の長さが,$△ABD,△CBD$の内接円の半径で表せそうなことがわかります.そこから紐解いていきましょう.

PQと$r_1,r_2$

$△ABD,△CBD$の内接円の半径をそれぞれ$r_1,r_2$とする.このとき,三平方の定理から, $$PQ^2=(r_1+r_2)^2+(r_1-r_2)^2=2(r_1^2+r_2^2)$$ となることがわかります.
さて,次に$AB=c,BC=a,CA=b$とおくと,$AD,BD,DC$の長さを$a,b,c$を用いて表すことができます.

相似比

$△ABD∽△ACB$より,$AD=\frac{c^2}{b},BD=\frac{ac}{b}$がわかります.
これより,$DC=\frac{a^2}{b}$であることもわかります.次に,内接円と三角形の面積に関する次の重要な事実を用います.

内接円と三角形の面積

一般に,$XY=z,YZ=x,ZX=y$である三角形の内接円の半径を$R$とすると,三角形の面積$S$は, $$S=\frac{1}{2}R(x+y+z)$$

この事実をそれぞれの直角三角形に適用しましょう.それぞれの三角形は直角三角形なので,その面積は$a,b,c$などを用いて表されます.したがって,$r,r_1,r_2$をそれぞれ$a,b,c$を用いて表すことができます.

結論

上の事実を$△ABC,△ABD,△CBD$のそれぞれに適用すると, $$r=\frac{ac}{a+b+c}$$ $$r_1=\frac{ac^2}{b(a+b+c)}$$ $$r_2=\frac{a^2c}{b(a+b+c)}$$ が得られます.これより, $$r_1^2+r_2^2=r^2$$ となるので,$PQ=\sqrt{2}r$が示せました.

図形的なセンスよりは計算力が問われています.

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