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主に $2$ 変数と $3$ 変数の場合について,対称式,交代式,基本対称式の基本事項について解説します.




対称式とは

文字のどの $2$ つの入れ替えに対しても不変な多項式のことを対称式と言う.

たとえば,$2$ 変数多項式 $x+y^2$ について,$x$ を $y$ に,$y$ を $x$ に置き変えると,$y+x^2$ となります.これは元の式とは別の式になっているので,対称式ではありません.一方,$x^2+y^2$ を考えると,$x→y, y→x$ とすると,$y^2+x^2$ となって,これは元の式と同じ式です.したがって $x^2+y^2$ は対称式です.

$2$ 変数多項式の場合は,$x→y, y→x$ として,元の式と同じかどうかを確かめれば,対称式かどうかがわかります.

一方で,$3$ 変数以上の多項式の場合は,$2$ つの文字を入れ替えるだけでは対称式かどうかを確認することはできません.たとえば,$3$ 変数多項式 $x^2+y^2+z$ について,$x→y, y→x$ としても式は変化しませんが,$x→z, z→x$ とすると,$z^2+y^2+x$ となって別の式になってしまいます.したがってこれは対称式ではありません.対称式であるためには,文字のどの入れ替えに対しても不変でなければならないのです.

$\underline{Example}$ 以下の式はすべて対称式

$2$ 変数
・$x+y$
・$xy$
・$x^2+y^2$
・$x^2+xy+y^2$
・$x^4-xy^3-x^3y+y^4$
$3$ 変数
・$x+y+z$
・$xy+yz+zx$
・$xyz$
・$x^2+y^2+z^2$
・$x^3+y^3+z^3-3xyz$

交代式とは

文字のどの $2$ つの入れ替えに対しても $-1$ 倍になる多項式を交代式と言う.

たとえば,$2$ 変数多項式 $x^2-y^2$ について,$x→y, y→x$ とすると,$y^2-x^2$ となって,これは元の式の $-1$ 倍となっています.このような式を交代式と呼びます.

$\underline{Example}$ 以下の式はすべて交代式

$2$ 変数
・$x-y$
・$x^2-y^2$
・$xy^3-x^3y$
$3$ 変数
・$x^2(y-z)+y^2(z-x)+z^2(x-y)$
・$x^3(y-z)+y^3(z-x)+z^3(x-y)$

基本対称式と対称式

基本対称式とは,対称式のうち,特別なものです.$2$ 変数の多項式については,$x+y, xy$ の $2$ つが基本対称式です.$3$ 変数の多項式の基本対称式は,$x+y+z, xy+yz+zx, xyz$ の $3$ つの多項式です.$4$ 変数の基本対称式は,$x+y+z+w, xy+xz+xw+yz+yw+zw, xyz+xyw+xzw+yzw, xyzw$ の $4$ つの多項式です.基本対称式が特別扱いされる理由は以下の定理が成り立つからです.証明は少し複雑なので,ここでは紹介しませんが,覚えておく価値のある重要な定理です.

対称式の基本定理: どんな対称式も基本対称式の和・差・積の組み合わせで表せる.

例をみてみましょう.たとえば,$2$ 変数の対称式は $x+y$ と $xy$ の組み合わせで表現できます.実際, $$x^2+y^2=(x+y)^2-2xy$$ $$x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)$$ $$x^4+y^4=(x+y)^4-4(x+y)^2xy+2x^2y^2$$ のように,表現できていることが確かめられます.$3$ 変数の対称式についても, $$x^2+y^2+z^2=(x+y+z)^2-2(xy+yz+zx)$$ $$x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)$$ のように,$x+y+z, xy+yz+zx, xyz$ の $3$ つの対称式で表現できていることがわかります.他の対称式についても同様に,基本対称式の和・差・積の組み合わせですべて表現できます.

対称式と交代式の関係

交代式の $2$ 乗

交代式は,$2$ 乗すると必ず対称式になります.実際 $f(x,y)$ を交代式とすると,$f(x,y)=-f(y,x)$ なので, $$\left(f(x,y)\right)^2=(-f(y,x))^2=(f(x,y))^2$$ したがって,$(f(x,y))^2$ は対称式.$3$ 変数以上の場合も同様です.

交代式の因数

$2$ 変数の交代式 $f(x,y)$ は因数として, $(x-y)$ を必ずもちます.なぜなら,$f(x,y)=-f(y,x)$ なので,$x$ に $y$ を代入すると,$f(y,y)=0$ です.$f(x,y)$ を $x$ の多項式として考えると,因数定理より,$f(x,y)$ は $(x-y)$ を因数にもちます.このとき, $$f(x,y)=(x-y)g(x,y)$$ と書けますが,実は $g(x,y)$ は対称式です.実際,等式の $x$ と $y$ を入れ替えると, $$-f(x,y)=-(x-y)g(y,x)$$ となって,これを元の等式に代入すると,$g(x,y)=g(y,x)$ となるので,$g(x,y)$ は対称式です.

$3$ 変数の交代式 $f(x,y,z)$ は因数として,$(x-y)(y-z)(z-x)$ を必ずもちます.さらに,上と同様に,対称式 $g(x,y,z)$ を用いて $$f(x,y,z)=(x-y)(y-z)(z-x)g(x,y,z)$$ と書けます.

対称式と交代式の積

対称式と交代式の積について以下の事項が成り立ちます.これはちょうど,数の正負の関係と同じような構造になっています. $$\color{green}{(対称式)} \times \color{green}{(対称式)}=\color{green}{(対称式)}$$ $$\color{green}{(対称式)} \times \color{red}{(交代式)}=\color{red}{(交代式)}$$ $$\color{red}{(交代式)} \times \color{red}{(交代式)}=\color{green}{(対称式)}$$