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有理化とは

有理化とは,分数の分母に根号 (ルート) を含む式を変形し,分母に根号を含まないようにする操作のことです.たとえば, $$\frac{1}{\sqrt{2}}$$ という分数の分母と分子に $\sqrt{2}$ をかけて, $$\frac{1}{\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{2}}{2}$$ とすると,分母にあった根号が除かれます.ここで重要な事は,有理化では,分数そのものは変わっていないということです.これは分数を約分するのと似ています.$\frac{8}{12}$ を約分して,$\frac{2}{3}$ にするという操作は分数そのものの値を変えていません.約分は分数の値を変えずにその表示を簡単にする操作です.有理化も同じです.一見,複雑にみえる分数も有理化すると簡単になることがあるのです.さて,以下では様々なパターンの有理化のやり方を見てみましょう.

有理化のやり方

・$\frac{1}{\sqrt{A} \pm \sqrt{B}}$という形の場合

 この場合は次の因数分解の公式を利用します.

$$(x+y)(x-y)=x^2-y^2$$

たとえば,$\frac{1}{\sqrt{2}+\sqrt{3}}$ を有理化するためには, 分母と分子に $\sqrt{2}-\sqrt{3}$ をかけることで, $$\frac{1}{\sqrt{2}+\sqrt{3}}=\frac{\sqrt{2}-\sqrt{3}}{(\sqrt{2}+\sqrt{3})(\sqrt{2}-\sqrt{3})}=\sqrt{3}-\sqrt{2}$$ となって,有理化できます.

・$\frac{1}{\sqrt{A}+\sqrt{B}+\sqrt{C}}$という形の場合

分母に根号が $3$ つあるときはどうすればよいでしょうか.この場合は,有理化を $2$ 回行えばよいです.
たとえば,$\frac{1}{\sqrt{5}+\sqrt{3}+\sqrt{2}}$ を有理化してみましょう.まず, $$\frac{1}{\sqrt{5}+\sqrt{3}+\sqrt{2}}=\frac{1}{(\sqrt{5}+\sqrt{3})+\sqrt{2}}$$ と考えます.つまり,$\sqrt{5}+\sqrt{3}$ をひとつのかたまりとしてみて,分母分子に $(\sqrt{5}+\sqrt{3})-\sqrt{2}$ をかけると, $$\frac{1}{\sqrt{5}+\sqrt{3}+\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}-\sqrt{2}}{((\sqrt{5}+\sqrt{3})+\sqrt{2})((\sqrt{5}+\sqrt{3})-\sqrt{2})} \\ =\frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}-\sqrt{2}}{(\sqrt{5}+\sqrt{3})^2-2}= \frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}-\sqrt{2}}{6+2\sqrt{15}}$$ さらに,分母分子に $6-2\sqrt{15}$ をかけて, $$=\frac{(\sqrt{5}+\sqrt{3}-\sqrt{2})(6-2\sqrt{15})}{-24} =\frac{\sqrt{2}}{4}+\frac{\sqrt{3}}{6}-\frac{\sqrt{30}}{12}$$ となって,分母の根号を払うことができました.

分母に平方根がいくつあろうと,項をまとめて,$\frac{1}{\sqrt{A} \pm \sqrt{B}}$ のときの方法を使い,順番に有理化していけばよいです.

有理化によるメリット

有理化によるメリットは主に次のようなものがあります.

・計算が簡単になる.
・極限値を求める際に役立つ.

有理化はしばしば計算を簡単にしてくれます.たとえば, $$\frac{\sqrt{3}-\sqrt{2}}{\sqrt{3}+\sqrt{2}}-\frac{\sqrt{5}+\sqrt{3}}{\sqrt{5}-\sqrt{3}}$$ などを計算する場合,分母をいきなり通分するのと,それぞれの分数を有理化してから通分するのでは計算量が変わってきます.根号を先に分子に集めて計算するほうが要領のよい計算方法だといえるでしょう.

また,有理化は極限を求める時などに用いられます.たとえば, $$\lim_{x \to 1} \frac{x-1}{\sqrt{x}-1}$$ などの極限値を求める際,そのままの式では分母と分子はそれぞれ $0$ に収束するので,極限値がわかりませんが,この式を有理化すると, $$\frac{x-1}{\sqrt{x}-1}=\frac{(x-1)(\sqrt{x}+1)}{(\sqrt{x}-1)(\sqrt{x}+1)}=\frac{(x-1)(\sqrt{x}+1)}{x-1}=\sqrt{x}+1$$ となるので,極限値は $2$ であることがわかります.